在日外国人への愚かな誹謗中傷を許してはいけない

在日外国人への愚かな誹謗中傷を許してはいけない

写真/産経新聞社

―[鈴木涼美の連載コラム「8cmヒールで踏みつけたい」]―

乗客から「不愉快だ」というクレームが複数寄せられたことで、恵比寿駅(東京都)構内のロシア語の案内表示を紙で覆い隠していた問題で、JR東日本の深谷光浩東京支社長が「差別との誤解を招く行為で不適切だった。深くおわびしたい」と謝罪した。

◆ガンズ&ろう策

「ヘイトは銃と同じだ。持ち歩いていれば人を殺すことがある」。1947年公開の米映画『十字砲火』で、殺人事件の容疑者らを追っていた警部は、これが反ユダヤ主義者による犯行だと気づく。彼が引っかかっていたのは参考人の一人である帰還兵との会話。言葉の端々に滲むユダヤ人への蔑視や憎悪が、事件解明の手がかりとなった。

ヘイトを内面化している兵士はごく自然な会話をしたつもりで、ヒントを渡した意識は毛頭ない。後にヘイト・クライムを確信した警部はこう続ける。「無知な男は自分と違うものをわらう。本来は恐れているんだ。そして憎しみだす」

同作が製作されたのはユダヤ人問題を扱ったエリア・カザンの初期の名作『紳士協定』と同じ年で、アンチ・セミティズムとも呼ばれるユダヤ人へのヘイト感情が第二次大戦を経てなお欧米社会の中に見え隠れしていたことが窺える。

と同時に、この差別主義者と事件の構造は世界中のあらゆるヘイト感情に置き換え可能でもある。

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