東大生たちが本気で語る実話怪談。偏差値75の世界でみえる恐怖体験とは

そういう彼らの目を通して語られる体験は、より純度が高いんじゃないか…という仮説を立てて始まったんですが、実際に話を聞いてみると、「自分は東大生だ」という強い自意識があって、「自分が体験したことに間違いはない、事実だ」という主観の方が強く、リテラシーが高い人たちに期待した客観的な考察はあまり見られなかったのが意外でした。

 それよりも、東大に入った人たちの人生の複雑さであるとか、困難であるとか、そういう一人ひとりの人間ドラマが面白くて。数多ある怪談本のように、UFOならUFO、幽霊なら幽霊という事象で章立てすることも考えていたんですが、これは“話者”で区切った方が面白いだろうと方針を転換し、最高学府と言われる奇妙な場所=東大に入った人たちの壮絶な人生そのものにフォーカスすることにしました。

――実際、読み進めると、話者のパーソナリティーが際立ってきて、それと怪談が絡み合ってくると、なんだか得体の知れない面白さがこみ上がってくる。そういった意味ではどのエピソードも秀逸でしたが、話者と対峙した豊島監督の中でお気に入りのエピソードはなんですか?

豊島:どれも思い入れがあるんですが、1つは『牛人間に呪われた男』。体験者が少年時代に山奥で「牛人間」と出くわしてしまう話なんですが、怪談としても面白く、掲載した心霊写真も相当怖い。でももっと恐ろしいのは、彼は義理の父親に毎日のように虐待を受けていたという事実であり、にもかかわらず大人になった彼は虐待を受け「牛人間」を見た現場に何度も立ち戻っていくという事実です。

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