防衛費の引き上げ、“喫緊の危機”にもかかわらず「5年以内」のおかしさ/倉山満

防衛費の引き上げ、“喫緊の危機”にもかかわらず「5年以内」のおかしさ/倉山満

ジョンソン英首相は4月9日、首都キーウ(キエフ)を訪問。ゼレンスキー大統領とともに市内を歩いて回った。会談では、軍事・経済両面からの追加支援が約束された 写真/dpa・時事通信フォト

―[言論ストロングスタイル]―

◆ウクライナが軍事侵攻された二つの理由

 隣国、しかも核保有国が、侵略を始めた。ならば我々の採る方策は一つ。今のうちに備えるのみだ。

 なぜウクライナは軍事侵攻されたのか。理由は二つある。一つは、元をたどればソ連崩壊の後、核放棄に合意したからだ。

 国際社会の常識は、核を放棄すれば何をされるかわからない。イラクのサダム・フセインも、リビアのカダフィーも、核を持たない者は非業の最期を遂げた。一方で北朝鮮の金正日は核武装に成功。天寿を全うした。

 第二に、ウクライナには、頼れる同盟国がなかった。ソ連崩壊後、アメリカを盟主とするNATOは東方に拡大、ロシアと国境を接するバルト三国やポーランドまでが加盟した。NATOの東方拡大はロシアにとって圧迫以外の何物でもない。逆に、米英仏独のNATO指導国は、好き好んで拡大した訳ではない。ロシアを怖がる小国が、NATOに安全保障を求めて入りたかっただけだ。しかし、最前線のウクライナだけは「盾」のような格好にされた。

◆GDPの9%を防衛費に投じ、防衛努力を行ったウクライナ

 ロシアはウクライナを国と思っていない。自分の手下くらいの扱いだ。そのウクライナが自分の支配を逃れてNATOにすり寄ろうとする。

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