余命わずかの人に寄り添う“終末期ケア”の悲痛。生きた証が消えていく

その方は80代の男性で、末期のがんで入院中に余命1ヶ月を宣告されたのですが、大好きなお酒とタバコを『最期の最期まで続けたい』という意思がありました。ドクターからも『そういう想いがあるなら退院してもらって、彼の好きなようにお酒もタバコもOKにしましょう』との指示があり、退院することになったのです。そこからは看護師と連携しながら、彼の意思を尊重しつつサポートを始めました」

◆末期がんで酒とタバコをやめなかった男の最期

 身寄りがなく、酒とタバコを最期まで愛し続けるために自宅に戻ってきた男性。身長が高く、とても恰幅がよかったために、歩けなくなった彼を移動させることが重労働だったようだ。そんな自分の意思を貫いた人だからこそ、日に日に衰えていく姿に心打たれたという。

「最初のうちは、訪問するたびにベッド脇にあるテーブルの上にお酒の空き缶や吸い殻、食べたカスが散乱していました。その掃除も大変ではあるのですが、それが彼のW生きている証Wなので、ターミナルケアを行う私としては、ゴミが出ることすら嬉しかったのです」

◆行くたびに汚れなくなっていく部屋

 最期の最期まで自分が好きだった酒とタバコを嗜みたいと語っていたが、余命宣告をされていた彼に残された時間はそれほど長いものではなかった。

「徐々に元気がなくなり、最終的には大好きだったお酒もタバコも口にしなくなりました。

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