『デフレの正体』の著者が解き明かす、インフレの正体

『デフレの正体』の著者が解き明かす、インフレの正体

写真はイメージです

◆金融緩和をしても消費は増えない

―― 岸田政権はアベノミクスを引き継ぎ、金融緩和を継続しています。その影響から円安が進み、電気代やガソリン代などが上昇していますが、個別の品目を見れば値段が上がっていないものも多く、賃金も上がっていません。藻谷さんは『デフレの正体』(角川新書)以来、金融緩和を行えば景気が回復するという見方を批判してきましたが、現在の状況をどのように見ていますか。

藻谷浩介氏(以下、藻谷) 端的に言えば、アベノミクスは間違いだったということです。アベノミクスはリフレ派の理論に基づいていますが、簡単にまとめると、「金融緩和を行えば多くの人たちがインフレになると思い、物の値段が上がる前にお金を使うようになるので、消費が増えて景気が回復する」というものです。

 しかし、これから物価が上がるかもしれないと思ったからといって、果たして私たちは消費に走るでしょうか。常識的に考えれば、物価が上がれば生活が苦しくなるので、節約して消費を控える人も多いでしょう。実際、最近ガソリン代が高くなっていますが、「これからどんどんガソリン代が高くなるので、その前に車に乗ってガソリンを消費しよう」といった話は聞いたことがありません。

 企業も人件費を削ったり下請けに負担させることで、できるだけ価格に転嫁しないように取り組んでいます。

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