アウトロー同士の殴り合いは、なぜ視聴者を魅了する?瓜田純士に聞いてみた

アウトロー同士の殴り合いは、なぜ視聴者を魅了する?瓜田純士に聞いてみた

瓜田純士氏

「新日本プロレス」「旧K―1」「PRIDE」。これまで日本の茶の間を賑わせてきた格闘技は「プロ」であった。だが、その状況に大きな変化が起きている。格闘技界に新ジャンルを開拓したのはプロではなく素人だった!

◆ケンカ自慢の素人がプロをリングに引きずり出す時代

現在、ネット上で異様な盛り上がりを見せているアウトロー同士の殴り合い。とくに「Breaking Down」(以下、ブレイキングダウン)の人気がうなぎ上りだ。

YouTubeでも、プロの格闘家たちが配信する「街の喧嘩自慢たちとスパーリングしてみた」という類いの動画は、軒並み数百万回再生を数え、なかには1000万回再生を超えているものもある。

アウトロー同士の殴り合いは、なぜここまで視聴者を魅了するのか。その源流は’08年に前田日明(63歳)が旗揚げした「THE OUTSIDER」(以下、アウトサイダー)にある。日本中から「暴走族、チーマー、ギャングのリーダー、腕自慢」を集め、リングの中で戦わせた大会だ。

キャッチコピーは、「不良達ヨ、覚醒セヨ」。その第1回大会から出場している瓜田純士氏が話す。

「普段はそこらの不良でも、アウトサイダーで活躍すれば一気に自分の名を売ることができました。アウトサイダーがそのへんの不良が開いた大会なら、あそこまでの人気は出なかった。あの前田日明が開催したからこそ、熱が生まれたんです。出場する不良たちも運営側も、前田日明に恥をかかせるわけにはいかないじゃないですか。だから、必然的にすべてのクオリティが高くなった」

不良文化と格闘技はやはり親和性が高い。古くは、『ろくでなしブルース』など、名作となり何千万部を売り上げた不良漫画はあまたある。不良だけではなく、一般の人々も読んでいないと説明がつかないほどの発行部数だ。

◆アウトサイダーが爆発的な人気になった理由

「アウトサイダーが爆発的な人気を呼び込んだのは、そのコンセプトだけでなく選手の売り出し方も大きな要因だったと思います。マーケティングが実に巧みだった」

そう語るのは、格闘技専門誌のベテラン記者だ。

「見たこともない不良同士がいきなり戦うだけでは、見ている一般層は感情移入もできないし選手のことも覚えられない。そこで、選手に個性的なキャッチコピーをつけ、個人同士の戦いというよりは、キャッチコピー同士の戦いにした。これにより、選手のことを知らない人も、試合に入り込めるようになりました」

アウトサイダーの過去の試合を見ると、おどろおどろしくもクスリと笑ってしまうようなキャッチコピーがズラリと並ぶ。くわえて、「血に飢えた津田沼のピットブル」「塀から解き放たれた大蛇八王子アナコンダ」など、出身地を入れることで、地元の名を懸けた戦いになるような演出もある。その妙が人気を集めたのだろう。

◆アウトサイダーを追って生まれた地下格闘技

こうしたアウトサイダーのブームによって勃興したのが、いわゆる「地下格闘技」と呼ばれるイベントだ。数えきれないほどの団体が全国で旗揚げされ、現存するイベントも複数ある。

「アウトサイダーの人気を見て、全国の不良たちが『自分たちで開催すればシノギになる』と考え、同じようなコンセプトの興行が大量に出現しました。暴走族の総長や半グレのトップが試合に出るとなると、必然的にその子分たちがこぞって会場にやってくるので、そこそこ儲かったようです」(前出・記者)

しかし、運営自体が反社会勢力だったり、ドクターを呼ばずに死亡事故が起きたりと、いい加減な団体が目立つようになった。運営する人間が逮捕され、解体された団体もあるという。

つまり、そういった地下格闘技の黒い部分を排除しつつも、ケンカ自慢同士の殴り合いといった「アウトサイダーイズム」をうまく取り入れ、さらに魅力をアップグレードしたのが、ブレイキングダウンだ。

◆「60秒ですべてが終わる」Breaking Down

朝倉未来の名のもとに、出場選手を決める事前オーディションであおり合い、罵り合い、乱闘、因縁を観る者の脳に刻みこむ仕掛けを施す。一夜にしてその不良同士が殴り合う意味を生み出しているのだ。また、アウトサイダーが「3分2ラウンド」であるのに対し、ブレイキングダウンは「1分1ラウンド」である点も、大きな違いだ。

「1試合が1分しかないので、格闘技を観たことがない人でもわかりやすいですよね。また、どんなに腕っぷしに自信があるケンカ自慢でも、3分2ラウンドは体力がもたない。お互いに疲れ果て、『来いよ! 来いよ!』と挑発し合うけど、どっちも動かないといった状態になりがち。その点、60秒ですべてが終わるのであれば、その心配もありません」(前出・記者)

◆「本気で練習しないと出場すらできないほど、レベルは上がっている」

アウトサイダーとブレイキングダウンの両方に出場し、「アウトロー格闘技」のアイコンのような存在となった瓜田氏。しかし、過去と現在では戦う理由が変わっているという。

「アウトサイダーを知ったのは、3年半の刑務所生活を終えて出所したときでした。何をやるにしても、元ヤクザでムショ上がりでは誰も相手にしてくれない。失ったものを取り戻すために出場を決めました。不良たちの殴り合いと言いつつ、みんなそれなりに格闘技を嗜んでいるんですよ。でもその中に本当のド不良がひとりくらいいてもいいんじゃないかという思いもあり、俺は練習をしなかった。でも、それはただの逃げであり言い訳でもあった。それでは、人前で恥をかいて終わるだけということを知りました」

これまでブレイキングダウンで2勝を挙げている瓜田氏は、現在週に5日、総合格闘技のジムに通い、残りの2日はウェイトトレーニングに充てている。

「昔はあれだけトラブルメーカーだった人間が、必死に練習して、人前で戦って、ファンもいて。生まれ変わることはできるんだと、身をもって教えられる――。そういう考えで1回目は出場しましたが、今はそんな綺麗ごとを言っていられなくなった。本気で練習しないと出場すらできないほど、ブレイキングダウンのレベルは上がっています。もちろん、技術や精度はプロにかないませんが、『魅せる』という面においてはみんなプロ。地味に判定勝ちしても、次からはもう呼ばれませんから」(瓜田氏)

◆「1分勝負ならプロに勝つアウトローが出てくるかも」

アウトサイダーやほかのアウトロー格闘技団体から、プロのリングに活躍の場を移す選手もいる。朝倉兄弟はその代表例だが、ブレイキングダウンも今後そのような展開を見せるのだろうか。

「ハリケーンのようなこの勢いはもう止まらない。猫も杓子もブレイキングダウンを見ている世の中になっていく。そうなるとむしろ、プロが自らブレイキングダウンに参戦するような状況になると思いますよ。もちろんプロが勝つことが多いだろうけど、実は1分ならケンカ自慢のほうが強かったという試合も出てくるはず。人気と実力を兼ね備えたプロ選手がケンカ自慢を相手にマットを舐めるようなことがあれば、さらに爆発的な熱を帯びていくことになりますよ」(同)

第5回大会にはすでに、K—1でも活躍するモハン・ドラゴンが参戦。地下格闘技出身でRIZINでも勝利を挙げたYUSHIも、ブレイキングダウンへの出場希望を表明している。

アウトロー格闘技の人気はまだ始まったばかりなのかもしれない。

【瓜田純士】
’79年、新宿・歌舞伎町生まれ。少年時代を不良として過ごし、やがてヤクザへ。離脱後、作家に転身。関東連合と対立する友達を描いた『遺書』(太田出版)はベストセラーに。近著に『アンサー』(サイゾー)。YouTubeチャンネル「瓜田夫婦」の登録者数は25万人を超える

取材・文/アウトロー格闘技取材班 撮影/藤中一平 写真提供/アフロ レディオブック

―[再燃する[アウトロー格闘技のリアル]]―

関連記事(外部サイト)

  • 1

    知らねー。 ねえ、なんで役に立たない記事ばかりで絶望拡散してんの? 公明党にドロドロ事実の確認と、ネットで宣言してた、法令無視で徹底した晒しと拡散管理しない宣言の実行を促してほしいんだけど。 自分たちの先行行為の自覚なき図々しさに、ドロドロなんだが。 このメディアもドロドロさせんの好きなんだろ? 虚偽垂れ流してないよね? 公益目的あるようにもみえないし、法的分析もアレにみえるが。

すべてのコメントを読む