浴衣の女子大生や若者たちが“盆踊り”に熱狂、タイで人気の日本文化

浴衣の女子大生や若者たちが“盆踊り”に熱狂、タイで人気の日本文化

浴衣を着たタイ人の女性

◆浴衣や甚平姿の男女が盆踊り

「あれっ? いつの間に日本に一時帰国したんだ?」

 現在、タイ・バンコクに住んでいる筆者。しかしまわりを見渡すと、そこには浴衣や甚平姿の男女。みんな揃って太鼓に合わせて盆踊り……。コロナ禍で一時帰国ができなくて早3年近く。郷愁の思いが募って日本にテレポーテーション!?

 実はこれ、バンコクで2015年から開催(コロナ禍の一昨年と昨年を除く)されている「日本博2022」というイベントの2日目で行われた“盆踊り”の様子。浴衣や甚平、法被やコスプレに身を包むのは、現地在住の日本人とタイの人たちなのです。

 バンコクに暮らしていると、「タイの人たちって日本が本当に好きなんだなあ~」と頻繁に感じます。たとえば、「好きな外国料理」といったアンケートの1位はずっと日本料理。ショッピングモールに行けばラーメンや寿司、お好み焼きなどの店がたくさんあり、それが嘘ではないことがよく分かります。

 コンビニに行けばおにぎりやかつ丼、漫画「ワンピース」とコラボした清涼飲料水、ポッキーなどのお菓子が棚に並んでいたり、リラックマやポムポムプリンなどお馴染みのキャラのグッズを身に着けた子どもや若者たちが通りを歩いていたりと、タイにいながら“日本”を見ない日はありません。

 そんなバンコクで、9月2日〜4日まで日本の文化や製品、サービスなどを一挙に紹介するイベントが開催。日本の夏の風物詩である盆踊りもあるというので行ってみました!

◆バンコクの“銀座+渋谷”がイベントの舞台!

 高級ショッピングモールの「サイアム・パラゴン」。バンコクでのショッピングのメッカであり、若者の情報発信基地でもあるサイアムという地区に位置しています。日本の銀座と渋谷をミックスしたような場所です。

 ここで「バンコク日本博2022」が開催されました。会場は7,100平方メートルと、サッカーフィールドと同じぐらいの大きさ。この手のイベントとしてはアジア最大級だそうです。

◆観光地から和食、オタク文化まで日本を網羅!

 2013年にタイ人の日本観光ビザが撤廃されてから、右肩上がりでインバウンド訪問者数が増え、2019年には年間約130万人が訪れていました。総務省の「国籍・地域別新規入国者」の統計によると「周辺国」である中国、韓国、台湾、中国(香港)、そして米国についで第6位。コロナ禍で途絶えた日本観光ですが、円安もあって再燃中。日本の各自治体のPR用ブースに多くの人が訪れていました。

 フードコーナーでは寿司やお好み焼きなどが販売されており、その中でひときわ長い行列がありました。辿っていくと……。

 そこにあったのは和牛のブース。地元の女子大生も売り子となり、高級和牛の焼肉を激安の一皿100バーツ(約380円)で販売していました。最近、タイでは和牛がブーム。私のタイ人の友人曰く、「タイの牛肉は固くて筋ばかりで美味しくありません、和牛は別格」なんだとか。値段は張るものの、その価値が評価されているのです。

◆“タイの東大”生もブース参加!

 タイの地元大学の学生たちもブースを出していました。神社を模しておみくじを引けたり、輪投げゲームがあったり、思い思いに日本文化を紹介しています。“タイの東大”と呼ばれる名門国立校のチュラーロンコーン大学も出店。自分たちで描いた日本語入りイラストのポストカードやシールなどを売っていました。

 そして、タイの若者が大好きな日本のポップカルチャー。会場の一角に人込みを発見、そこには仮面ライダー。ツーショットを一緒に撮ろうと多くの人が群がっていたのです。漫画やアニメ関連のブースも多く出店していました。

 タイにもコスプレイヤーたちがいます。「東京リベンジャーズ」や「呪術廻戦」など人気作品のキャラに扮して会場を練り歩いていました。

 日系企業の就職相談や日本への留学相談のブースもあり、学生たちが入れ代わり立ち代わり熱心に話を聞いていました。

 ほかにもJリーグのブースを発見。セレッソ大阪に所属するチャウワット・ヴィラチャード選手のポップアップが目を惹きます。今、サッカーの盛んなタイ出身の選手がJリーグで大活躍しているのです。

◆浴衣で日本観光気分のタイ人女性も

 会場には浴衣をレンタルするブースもあり、「浴衣を着てみたい!」という女の子たちでいっぱいでした。

「アニメで浴衣を着てお祭りに行く場面を観たことがあります。コスプレした気分です」と話すのはボーイフレンドとデートで来ていた大学生。「来年は必ず日本へ行きたいと思います!そのために一生懸命お金を貯めています。こんな風に浴衣を着て京都を歩きたいです」とはOLの2人組。

 そして、彼女たちが向かった先は日本博のメインステージ。日本から来たアーティストやアイドルのライブが朝から晩まで連日行われていました。開催2日目に当たる9月3日の午後、ここで盆踊り大会が開催されました。

 盆踊り大会そのものは、タイ国日本人会主催で1987年から隔年で行われています。日本人とタイ人との絆を深めるのが目的。コロナ禍でここ数年は休催せざるを得ませんでしたが、日タイ修好135周年を迎える今年、ついに復活したというわけです。

◆ノリの良いタイ人たちが盆踊り大会で大盛り上がり

 まず、「涙そうそう」など若いタイ人にも馴染みのある曲をBGMに、日本伝統の踊りを舞踊の先生から学んだタイ人たちが披露。ステージのまわりにどんどん人が集まってきます。

 そして、威勢の良い太鼓と共に「炭鉱節」や「東京音頭」などお馴染みの曲が流れます。在住日本人とタイ人の踊り手が見本となるように踊り出します。ライブを行うために訪タイしているEXILE TRIBEのBALLISTIK BOYZやPSYCHIC FEVERなどのアーティストも参加。ステージの下に設けられたスペースで人々が踊り始めました。

 ノリの良いタイ人らしく、観客席から次々と人が集まり、曲が進むと共に踊りの輪はどんどん広がっていきます。「盆踊りタイム」は約30分。最後はステージ前のスペースを埋め尽くす数百人が踊りに興じて大盛り上がりを見せました。

 3日間に渡るイベントで通算9万3000人が訪れたということです。タイ人の日本好きを改めて実感したイベントでした。

<取材・文・撮影/梅本昌男>

【梅本昌男(海外書き人クラブ)】
バンコク在住のフリーライター。タイを含めた東南アジア各国で取材、JAL機内誌スカイワードやアゴラなどに執筆。観光からビジネス、エンタテインメントまで幅広く網羅する。NHKラジオなどへの出演も行っている。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」の会員。

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