ユニクロ「9990円デニム」伝説的ブランドとのコラボなのに残念すぎる結果に…

ユニクロ「9990円デニム」伝説的ブランドとのコラボなのに残念すぎる結果に…

クラシックカットジーンズ(UNIQLO and HELMUT LANG.)

―[メンズファッションバイヤーMB]―

 メンズファッションバイヤー&ブロガーのMBです。洋服の買いつけの傍ら、「男のおしゃれ」についても執筆しています。連載第395回目をよろしくお願いします。

◆明暗分かれたファストブランドの新コラボ

 今回はZARAとユニクロのコラボを紹介!

「こんなすごいアイテムをこんな格安で作ってくれるの?」の豪華コラボと「こんなアイテム、誰が買うの……?」の残念コラボ、それぞれ紹介します。

◆☆「Studio Nicholson/スタジオニコルソン」がZARAとコラボ!

 あまり一般認知されていないかもしれませんが、服好きの中ではもはや常識的なブランド「Studio Nicholson/スタジオニコルソン」。2010年イギリスでスタートして以来、じわじわと人気が広がり、日本でもここ数年ほどで多くの取扱店が生まれました。

 アイコンとなっている人気アイテムはワイドパンツ、なんとその値段たるや4万円ほどと超高額! 服好きでもたじろぐ破格の値段設定にもかかわらず、全国の取扱店では入荷直後に完売するケースが続出するほどの争奪戦ぶり。

 現在は公式オンラインサイトが稼働しはじめ、少しは落ち着いたものの、いまだ人気カラー人気サイズはシーズンの最初に狙わないと手に入らないほど。

◆静かに人気が広がっていった実力派

 ルイ・ヴィトンやグッチなどメゾンのようにわかりやすいアイコンロゴが存在せず、極めてアノニマスなモノ作りにかかわらず、こうも人気殺到するケースは珍しい。また、「海外有名ラッパーが着用した」などの謳い文句があるわけでもなく、静かに人気が広がっていった実力派でもあります。

 というのも、ワイドパンツは試着したらもうアウト。建築物のように構築的に計算されたシルエット作りをしており、ウエスト位置が高く、足のラインがごまかせ、信じられないほどきれいな足の形に見えるのです。

 実際、ニコルソン登場以降は多くのブランドが形を模倣し、ドカンのようにただ太いだけのワイドシルエットが市場から消えていきました。

 ワイドパンツは「ニコルソン以前/ニコルソン以降」と区切れるくらい驚愕の美シルエットだけに試着した多くの人が購入に進み、じわりじわりと広まっていったのだと思われます。

◆細部に至るまで本家に近づくレベルまで再現

 そんな服好きの間では有名なスタジオニコルソン、この度、ZARAとコラボが決定。すでに店頭に並んでおり完売が続いていると思いますが……もしお店でワイドパンツを見かけたら即GETをおすすめします。

 ZARAの格安素材で仕上げていると思いきや、いつものZARAよりも相当力を入れたモノ作りをしており、風合いやシルエットに至るまで本家に近づくレベルまで再現できています。……にもかかわらず1万5990円の格安設定。

 さらに公式発表されていないかもしれませんが……ニコルソン本家は次回シーズンから値上げ予定。値上げ率もかなり大きいと聞いているのでこのZARAコラボ見逃さないほうがいいかも。

◆★9990円のユニクロデニム、若い世代は見向きもしないのでは…

 30代以上の服好きならこのコラボを聞いて興奮を抑えられないでしょう。

 90年代ミニマリズムの流れの中で一躍ファッションヒーローに上り詰めた伝説的デザイナーズブランド「HELMUT LANG/ヘルムート・ラング」。

 シンプルデザイン・極上素材・考え抜かれた美シルエットは90年代世界中で評価されており、特にドイツのジル・サンダー、オーストリアのヘルムート・ラングは2強として愛されていました。中央ヨーロッパの地味だけど、質実剛健なモノ作りが評価されていた時代でした。

◆往時の勢いを失い、現在はファーストリテイリンググループ傘下

 ヘルムート・ラングといえばシンプルデザインだけでなく、「アクションペインティング」を洋服の世界に広めた立役者。現在では当たり前のようにペイント加工(ペンキを撒き散らしたような加工)をしたデニムが市場に流通していますが、あれを初めて広めたのがヘルムート・ラング。

 現代アートであるジャクソンポロックのアクションペインティングから着想を受け洋服に落とし込んだヘルムート・ラングのジーンズは90年代を象徴する傑作となり、現代メルカリでも高値で取引されるほどの人気ぶりです。

 そんなヘルムートラングも徐々に勢いを失い、現在ではファーストリテイリンググループの傘下となり、ユニクロの兄弟ブランドとなっています。今回のコラボはつまり「内製コラボ」。ユニクロにとってはやりやすいコラボだったでしょう。

◆通常ライン3990円との価格差だけが際立つ

 さて、今回ユニクロラインアップの中では驚愕の9990円デニムとなりましたが……出来としては……うーん。

 正直、デニムの質もよく、ヘルムート・ラングらしいミニマルなデザイン(ボタンやステッチを同色にするなど)も表現できていますし、9990円でも安いほうだとは思いますが……いつものユニクロデニムが高品質低価格で文句があまりないことから、わざわざこれを買う必要ないかなとも。

 たとえば、ヘルムート・ラングらしいアクションペインティングなどが施された特別なデザインなら価格が高くても通ると思いますが、今回はクラシカルかつシンプルな「普通のデニム」に仕上げてしまっており……通常ライン3990円との価格差だけが際立つ結果となっています。

◆ZARAと比較すると「残念コラボ」

 ヘルムート・ラングを知っている服マニアならともかく、普通の人、若い世代の服好きにはまったく響かないんじゃないかな……という残念コラボに。

 ユニクロもおそらくそれをにわかに感じ取っているのか展開型数はなんと1型のみ。ネタコラボのように突然差し込まれたタイミングも謎で、多分「これは売れないだろう」と見限ってる感あります……。ZARAと比較すると「残念コラボ」としか。

 以上、今回はファストファッションの「豪華コラボ」「残念コラボ」の紹介でした!

―[メンズファッションバイヤーMB]―

【MB】
ファッションバイヤー。最新刊『MBの偏愛ブランド図鑑』のほか、『最速でおしゃれに見せる方法 』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』など関連書籍が累計200万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超! (Twitterアカウント:@MBKnowerMag)

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