なぜ、人は『スプラトゥーン』にハマってしまうのか? 最新作が「3日で345万本」の衝撃

なぜ、人は『スプラトゥーン』にハマってしまうのか? 最新作が「3日で345万本」の衝撃

"スプラトゥーン"人気の秘密

なぜ、人は『スプラトゥーン』にハマってしまうのか? 最新作が「3日で345万本」の衝撃

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―[絶対夢中★ゲーム&アプリ週報]―

◆3日間で345万本を突破!

 9月9日に発売された『スプラトゥーン3』が絶好調です。任天堂の発表によると国内販売本数が、発売後3日間でなんと345万本を突破。これは、Nintendo Switch向けソフトの3日間の国内販売本数としては過去最高の数字です。今後どれだけ本数を伸ばすか楽しみです。

 そもそも初代『スプラトゥーン』は、Wii Uで2015年に発売されました。『ピクミン』(2001年)以来、14年ぶりとなる任天堂の完全オリジナル作。なぜ『スプラトゥーン』はここまで多くの人をひきつけたのでしょうか。今や看板シリーズとなった、その魅力の秘密を考えていきたいと思います。

◆(1)対戦型シューターとしては異色の世界観

 初代『スプラトゥーン』が発売された2010年代は、『コールオブデューティ』が世界で一番売れるシリーズのひとつとして定着するなど対戦型シューターのジャンルが世界的に盛り上がった時期。しかし、その多くがミリタリーもので、硬派なイメージがありました。それをガラリと一変させたのが『スプラトゥーン』。「まったく新しいゲームを作ろう」と任天堂の中枢である情報開発本部のプロジェクトチームが、半年間かけて70個以上のアイデアを出した結果生まれた本作。もとはごま豆腐と木綿豆腐が陣地を取り合う遊びだったのがさらなるディスカッションの末、現在のイカ人間になったそうです。

 ただかわいい、ただ明るいだけでないのが任天堂的ファンタジーの特色。異常気象で海面が上昇し人類滅亡後、1万2000年が過ぎた時代。人型に変身できるようになったイカとタコがナワバリを巡って抗争を繰り広げている……。ポップでありながらサイケデリックで、カウンターカルチャー的な要素も垣間見えます。思えば『スーパーマリオブラザーズ』もキノコを取って巨大化、フラワーで炎を吐くなど独特のファンタジックなセンスが人々の興味をそそりました。

『スプラトゥーン』も、『マリオカート』や『スマッシュブラザーズ』のように対戦型シューターに既存のキャラを載せる方向性もあったかと思います。しかし、まったく新しい世界を構築することで、任天堂の新規ゲームとして受け止められ、このジャンルに興味がない人も巻き込んだと言えそうです。

◆(2)対戦型シューターに革命をもたらした

『スプラトゥーン』の功績としては、対戦型シューターに新たなルールを加えたことも大きかったと言えます。対戦相手を撃って倒す一方で、自分も倒されるというのが対戦型シューターの基本。単純にこれだけだと、上級者と初心者の差が大きく出てしまいます。

「最初からシューターを作ろうとしていたわけではない」とプロデューサーの野上恒さんがゲーム開発者向けカンファレンス「GDC 2018」で語っていたように、シューターからのスタートではなかったことが功を奏したのでしょう。「色を塗る」要素を軸にしたことで、対戦型シューターは一気にカジュアル化しました。

『スプラトゥーン』のメインである「ナワバリバトル」では、「倒す/倒される」の相互的な関係以外に、ある種、単方向の「地面を塗る」という行為でチームへの貢献が可能となり、初心者がゲームに参加するハードルが下がりました。

 さかのぼると、色を塗る行為は初期ゲームの基本形である『パックマン』のような「ドットイートゲーム」にたどり着きます。ファミコンでもおなじみの『シティコネクション』は、通れる道路をすべて塗りつぶせばステージクリアというルールでした。不思議なことに、人間はそこにドットがあればすべて拾いたくなり、塗れる空白があればひたすら塗りつぶしたくなるもの。そうした根源に近いゲーム性が加わっているのが『スプラトゥーン』の強さでしょう。

 また、対戦型シューターに限っていえば、ビジュアルで戦況がわかるというのも非常に画期的な要素。色が混在しているエリアが、激しくぶつかり合っている前線であることは一目瞭然。目的も戦況も可視化されている意味は大きいです。

 SNSでの口コミが売上を左右する時代において、「色を塗るゲーム」と端的に内容を言い表せたのもヒットの一因でしょう。

◆(3)秩序と混沌のリズム感

 もうひとつ、これは『スプラトゥーン』が起こした革命というわけではないですが、『スプラトゥーン』は秩序と混沌、緊張と弛緩のリズム感がプレイヤーを夢中にさせます。ナワバリバトル1試合のなかでも、「サーモンラン」(協力プレイモード)のなかでも、秩序と混沌、緊張と弛緩のリズムが繰り返されます。色が入り乱れてぐちゃぐちゃになっている部分もあれば、誰もいないところを淡々と塗れるフィールドの端もあります。インクに潜って移動し、背後を突いて奇襲するという戦い方もスリリングです。

 1試合という限られたゲーム時間のなかで、秩序と混沌、緊張と弛緩のリズムが意識的にゲームデザインされていることが、やればやるほど『スプラトゥーン』にハマっていく理由ではないでしょうか。

 以上の3点以外にも、定期的に追加されるブキやステージ、お題に対してチームに分かれて勝敗を決める「フェス」など、発売後の継続的なサービスもファン離れを防いで、今回の『3』のスタートダッシュにつながった要因でしょう。これは任天堂としてはかなり早い段階で『スプラトゥーン』に用いられた運営手法でした。

 すでにあるジャンルにユニークな世界観を乗せ、システムに+αをして、そのジャンルの本質を残しながら目新しいものにする。これは任天堂が得意とするところ。そのスタイルが独創的な形で実現したのが『スプラトゥーン』と言えそうです。

 今後『どうぶつの森』のように社会現象級のブームとなっていくのか。『2』の売上は全世界1330万本。『3』がどこまでこれを上回るかに注目です。<文/卯月 鮎>

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