スマホの使いすぎで“顎関節症”が増加。セルフチェックと対処法も【医師監修】

スマホの使いすぎで“顎関節症”が増加。セルフチェックと対処法も【医師監修】

「スマホ顎関節症」が増加

スマホの使いすぎで“顎関節症”が増加。セルフチェックと対処法も【医師監修】

写真はイメージです

現代社会で生活するには欠かせないアイテム、スマートフォン。便利に楽しく過ごすためのものではあるものの、スマホの影響で体に変調がでる人も増えている。その中のひとつが「顎関節症」。なぜスマホ生活で顎関節症が増えたのか、症状が悪化するとどうなるのか。さらに、治療法や予防はどのようになっているのか。顎関節症に詳しい石本歯科クリニックの石本光則院長に聞いた。

◆「スマホ顎関節症」が増えている

 スマホの長時間使用により、指が変形してしまう「スマホ指」などは耳にすることがあるが、スマホ使用と顎関節症の関連性が素人の私たちには見えてこない。まず、実際にそうした患者が増えているのか。石本院長は次のように話す。

「スマホの普及に伴って『食いしばり』が増加しました。歯科的な視点で言え、それによって、歯が欠けるなどの事例とともに顎関節症も増えたというのが、正確かもしれませんね。実際、当院でも、顎関節症の患者さんが週に数十人はいらっしゃいます。初診の方も多いことから増加しているということがわかりますね」

 しかし、一見無関係に見えるスマホの使用による顎関節症がなぜ増加しているのだろうか。

「もともと、人間は通常の姿勢でいると上の歯と下の歯は触れ合うことは少ないんです。それを長時間くっつけてしまっている人が多いんです。通常であれば、上の歯と下の歯が触れ合っている時間は1日15分くらいなんですが、今はそれが極めて長時間になってしまっています」

 実際に正面を向いていれば、確かに上下の歯が触れ合うことがない。しかし、座った姿勢でスマホを見ようとすると下を向くことになる。すると、上下の歯が触れ合っているのがわかるだろう。

◆顎関節症って怖い?

 では、顎関節症になってしまった場合、どのような症状が出るのかも気になるところ。これについて石本院長に聞くと、狭い意味で顎に出る症状と広い意味で顎以外の部位にも影響が出る場合の両方があるそう。

「まず、狭い意味で顎に出る症状としては、口が大きく開かなくなります。また、『クリック音』と呼ばれていますが、噛む動作をするするたびに顎の付け根からカクカクと音がなるという症状もあります。さらには、顎に痛みが出る場合も少なくありません」

 痛みが出てしまえば別だが、口が大きく開かなくなったり、クリック音がする程度では、食事がしにくくなったり、滑舌が若干悪くなる程度の影響のため、「病院に行くほどではない」と考える人もいるだろう。もし、そうした症状を放置して、顎関節症がひどくなった場合、顎以外にも影響が出る広い意味の症状があるというが、それはどんなものなのか。

「多いのが、頭痛肩こりです。特に頭痛はとても多いですね。顎関節症が原因だと気付かずに、単に『私は頭痛持ちだ』と勘違いしている方もかなりいらっしゃいます。そういった方は、内科などで検査しても原因がなかなか見つからず、痛み止めを処方されるだけということもあり、長く頭痛に苦しんでいらっしゃいます」

 口が開きにくくなる症状は、徐々に発生することもあり、顎関節症は本人が気づかないうちに進行していて、それが頭痛や肩こりを引き起こしているということだ。

「内科でどんなに検査しても頭痛の原因が特定できなかった方が、当院を探して来ることも増えました。他にも、耳が痛くて耳鼻科に行ったけど治らなかった方が、当院に来られることもあります。そうした方々が顎関節症の治療で、頭痛や耳の痛みがなくなりました。それだけではなく、顎関節症は、ひどい時には腕から手にかけての痺れなども引き起こすこともあります」

 現代病とも言われる頭痛や肩こりは、辛く感じていながらも、ストレスや疲れなどに安易に結びつけてしまいがちだ。しかし、こうした話を聞くと顎関節症を疑ってみるのも一つの手かもしれない。

◆顎関節症の治療とは?

 もし、顎関節症になった場合、どのような治療を受けることになるのだろう。段階的な治療が必要だという石本院長に、その流れを聞いた。

「まずは、歯の形や歯列の歪を整える治療をします。それと同時に、運動療法です。顎関節症の痛みは、関節の痛みだと思われがちなんですが、実は筋肉の痛みの場合がほとんどです。ですので、筋肉をほぐす訓練とマッサージをお教えします」

 訓練は次のような手順だ。

①口を閉じ、左右の頬に手のひらをあてる
②両方の顎が同じ大きさで開くことを確認しながら開口していく
③できるだけ大きく開き、1〜2分維持
④左右に差がないように気をつけながら口を閉じる。

 以上を4〜5分かけて、朝・昼・晩・就寝前の4回程度実施する。

 また、マッサージは次のように行う。①頬にある咬筋を指の腹でほぐす、②頭の横にある側頭筋を指の腹でほぐす、③首の横のにある胸鎖乳突筋をつまんでほぐす。以上を、入浴時などに4〜5分かけて行う。

 こうした治療と訓練やマッサージとともに、上下の歯が触れ合わないような生活を心がけて生活する必要があるという。それでも治らない場合、どのような治療になるのか、さらに聞いた。

「起きているときは意識すれば、上下の歯が触れ合わないように生活することはできます。しかし、睡眠中までその意識を持つことはできませんよね。そこで、マウスガードを作っていただき、それをつけておやすみいただきます。マウスガードのデザインも工夫が必要で、奥歯があたらなく食いしばれないデザインのものが有効です。それでも治らない場合は、ボトックス注射を打って、口の周りの筋肉をコントロールすることもあります」

◆顎関節症のセルフチェック方法

 顎関節症になってしまうと、顎や頭の痛みが辛いばかりか、治療にお金も時間もかかる。予防のためにまず、自身に顎関節症の前兆があるか知りたいところ。そこで、石本院長に、セルフチェックの方法を聞いた。

「一般的に、三横指半が入らないと顎関節症だと言われています。口を大きく開いた時に、縦に3本揃えた指が入らなければ、前兆があるかすでに顎関節症であると考えていいでしょう」

 また、スマホの長時間使用から発症するということは、生活習慣が大きく関係しているということになる。生活の中で、どんな癖のある人が顎関節症になりやすいのだろう。それを知るためにはまず、歯がどのように生えているかを知っておく必要があると石本院長。

「歯は、内側から舌が支えていて、外側を口の周りにある口輪筋という筋肉で支えています。この二つの支えのバランスが取れたところに、歯が並んでいるんです。つまり、この力のバランスを乱す力が加わるような生活習慣のある人は、歯並びやかみ合わせが悪くなって、顎関節症になりやすくなります」

◆生活習慣の見直しも

 力のバランスを乱す生活習慣とはどんな習慣なのか。具体的に聞いた。

「例えば、頬杖を長時間つく方とか、いつも同じ向きで寝たり、うつ伏せ寝をする方です。他にも、うつ伏せで枕に顎を置いてスマホを見たり読書を長時間するのも避けたほうが良いです。

 あとは、口元の癖を確認してみてください。無意識にエクボをつくったり、唇を引き締める動きをしたり、頬や唇を吸う動きが癖になっている方も注意が必要です。それから、片側の歯ばかりで食べ物を咀嚼する人も、左右の筋力のバランスが崩れやすくなりますね」

 無意識な生活習慣から、痛みや痺れを伴うほどの症状まで引き起こす可能性のある顎関節症。そのリスクはスマホの長時間使用に伴って高まってくる。健やかな生活のために、意識して予防していきたい。

<取材・文/Mr.tsubaking>

【Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。

関連記事(外部サイト)

  • 3

    顎関節症っぽい症状が出た時は、怖くてあくびができなかった時期があるわ。

  • 2

    数年前から歯科医師の指導で奥歯の嚙み合わせが強すぎて歯が欠ける、肩こり、頭痛の要因と説明を受けた。 私専用のマウスピースを作り、寝る前にマウスピースを装着して寝ると肩こりが解消した。 最近では仕事場でもマスク着用のため、マウスピースの代わりに舌の先を前歯で軽く挟み 奥歯がかみ合わないようにしている。 これだけでも肩こり解消に寄与していると感じている。

  • 1

    こんな記事を書いても企業は責任、政府は対策取らん、関連事故は起こり続ける😒

すべてのコメントを読む