コンビニ店員は、なぜ「こんにちはァ〜!」と語尾を上げて叫ぶのか

コンビニ店員は、なぜ「こんにちはァ〜!」と語尾を上げて叫ぶのか

コンビニ店員は、なぜ「こんにちはァ〜!」と語尾を上げて叫ぶのかの画像

― 週刊SPA!連載「ドン・キホーテのピアス」<文/鴻上尚史> ―

 初めてのコンビニに入ったら「いらっしゃませ、こんにちはァ〜!」といきなり女性の声が聞こえました。

 語尾の「はァ〜」の部分が急に上がります。ピアノで白鍵盤3つ分ぐらいです。ものすごく不自然に響いて、とても僕に話しかけている感じがしませんでした。

 と、すぐに別の場所から「いらっしゃいませ、こんにちはァ〜!」と、同じように語尾が急に高くなった男性の声が聞こえました。

 続いて、お客さんが入ってきたので、語尾を急に上げた女性と男性の声が響きました。もう大きな独り言の連発です。そして、「ただいま××が50円引きのセールス中でございまぁすゥ〜!」と、語尾を上げながら女性が叫びました。同じ内容を男性も叫びました。商品をレジに持っていくと、女性店員が目の前で「いらっしゃいませェ〜!」とまた急に語尾を上げて叫びました。

 なんだか、頭痛がしてきました。

「不自然な日本語を聞いているから」という理由もありますが、「店員さん達は本気だ」という理由の方が大きいです。男性も女性も、それは熱心に、語尾を上げて独り言を繰り返します。これが、やる気がなくて「っしゃいませ〜」なんてモゴモゴ言うのなら、人間として理解できます。

 頭痛がしてくるのは、「まったく逆効果のことを、本気で熱心に大声で言っている」という、じつに理解を超えた不条理な現実をつきつけられているからです。

1 2 3 次へ

関連記事(外部サイト)