ダニー・クロファットはフレンチ・カナディアン――フミ斎藤のプロレス読本#036【全日本プロレスgaijin編エピソード6】

ダニー・クロファットはフレンチ・カナディアン――フミ斎藤のプロレス読本#036【全日本プロレスgaijin編エピソード6】

『フミ斎藤のプロレス読本』#036 全日本プロレスgaijin編エピソード6は「ダニー・クロファットはフレンチ・カナディアン」の巻。D・クロファットの本名はフィリップ・ラファン。仲のいい友だちはフィルと呼んでいる。フィルはモントリオール生まれのフレンチ・カナディアンなのだ(Photo Credit: Fumi Saito)

 199X年

 フィリップ・ラファン――これがダニー・クロファットの本名だ。仲のいい友だちからはフィルと呼ばれている。

 クロファットという名を使いはじめて5、6年になる。はじめのうちはあんまりいい響きだとは思わなかった。どうしてかというと、他人が勝手につけたリングネームだったからだ。

 ある日、モントリオールの試合会場でなにげなくパンフレットに目をとおしたら、知らないうちに自分の名前が“ダニー・クロファット”にされていた。マッチメーカーをしていたリック・マーテルの仕業だった。

 それまで名乗っていたフィル・ラファイアーというリングネームは、あまりにもフランス人の香りが強すぎる。マーテルだ、ブラボーだ、ルージョーだと、このテリトリーはフレンチだらけだから、もっとウェスタン・カナディアンの色がほしい。

「きょうからキミはカルガリー出身のダニー・クロファットだからね」とマーテルはフィルに告げた。東カナダと西カナダは異なるふたつの文化圏、というのがごく一般的なカナダ人の認識である。

 カナダ・ケベック州モントリオールは、もともとフランス領だった土地だから公用語はフランス語で、テレビや新聞や雑誌は基本的に英語とフランス語のバイリンガル(2カ国語表記)。学校の授業はフランス語で、友だちとの会話は英語だったりする。

 この街の人びとは子どものころから自然にふたつの言語をしゃべっているから、10代になるころにはフランス語と英語の2カ国語を話すようになるが、フランス語がネイティブの家庭で育った人たちはフランス語アクセントの英語、英語がネイティブな家庭で育った人たちは英語アクセントのフランス語をあやつる。

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