ジョニー・エース=ジェラシーの標的Target――フミ斎藤のプロレス読本#038【全日本プロレスgaijin編エピソード7】

ジョニー・エース=ジェラシーの標的Target――フミ斎藤のプロレス読本#038【全日本プロレスgaijin編エピソード7】

『フミ斎藤のプロレス読本』#038全日本プロレスgaijin編エピソード7は「ジェラシーの標的Target」の巻。ジョニー・エースがいちばん損しているところは、本人はあまり意識はしていないけれど、プロレスラーとしては顔がかわいすぎることだった。(Photo Credit:Fumi Saito)

 199X年

 ひょっとすると、ジョニー・エースはヘンなところで損をしているプロレスラーかもしれない。いったいどこか損なのかというと、ルックルがよすぎるところである。

 やや差別的な表現になってしまうかもしれないけれど、女の子だったら、もちろん器量がいいにこしたことはないだろう。ところが、男の子の場合は、あるシチュエーションにおいては、顔がかわいらしいことが大きなハンディキャップになってしまうことがある。

 男の子を卒業して成人男性になったら、生まれつきの端正な顔立ちがものすごい弱点になる。肉体をぶつけ合うことを仕事にしているプロレスラーだったら、なおさらのことである。

 お客さまに観ていただくビジネスだから、ルックスは悪いよりはイイほうがベターに決まっているけれど、男性ばかりの職場ではハンサム・ボーイはみんなの3倍くらいがんばらないとまわりのみんなから仕事のうえで正当な評価を受けることができないらしい。

 エースはたぶん、その最たる例だろう。どんなに一生懸命に闘っても、仲間のアメリカ人レスラーからはつねにやっかみの目で見られてしまう。全日本プロレスのリングでレギュラー・ポジションを与えられたいちばんの理由は、あのかわいい顔にあると思われているのだ。

 もともと、エースは人前に出る職業につこうなんてこれっぽっちも考えていなかった。ハイスクール時代はごく人並みにフットボールとバスケットボールをやって、大学時代はごく人並みに勉強し、ごく人並みに遊び、ごく人並みにガールフレンドがいたりした。

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