“三沢イズム”が色濃く残る中で――中嶋勝彦はノアとどう向き合っているのか【最強レスラー数珠つなぎvol.12】

“三沢イズム”が色濃く残る中で――中嶋勝彦はノアとどう向き合っているのか【最強レスラー数珠つなぎvol.12】

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 「最強レスラー数珠つなぎ」――毎回のインタビューの最後に、自分以外で最強だと思うレスラーを指名してもらい、次はそのレスラーにインタビューをする。プロレスとはなにか。強さとはなにか。この連載を通して探っていきたい。

「なんでよけるかなあ!」

 大歓声に紛れて、そう叫ぶ客がいた。超満員の会場に、白けた空気が漂った。

 6月4日、プロレスリング・ノア後楽園ホール大会。GHCヘビー級王座チャンピオンである中嶋勝彦が、5度目の防衛戦に勝利した直後のことだ。おそらく挑戦者モハメド・ヨネの必殺技・キン肉バスターを、中嶋が受けなかったことを言っているのだろう。

 ノアを創設した三沢光晴は、「受けの天才」と呼ばれた。どんな技でも受ける。受けきった上で勝つ。そんな三沢のプロレスを愛するファンが、今でも多くノアを応援している。三沢の付け人だった丸藤正道、三沢が亡くなる直前までタッグパートナーを務めた潮ア豪……。三沢イズムを継承するレスラーたちの中で、昨年ノアに入団したばかりの中嶋を、ひょっとしたら受け入れていないファンもいるのかもしれない。

「なんでよけるかなあ!」――たった一人の客が叫んだこのひと言が、なにか大きな意味を持つように感じられ、胸が締めつけられる思いがした。自分と重ね合わせていた。

「プロレスを分かってねえな」

 そう非難されたことを、私は思い出していた。

【vol.12 中嶋勝彦】

――鷹木信悟選手のご指名です。

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