「わかんねーところがいいんじゃネーか」藤原組長がニヤリ――フミ斎藤のプロレス読本#056【カール・ゴッチ編エピソード4】

「わかんねーところがいいんじゃネーか」藤原組長がニヤリ――フミ斎藤のプロレス読本#056【カール・ゴッチ編エピソード4】

『フミ斎藤のプロレス読本』#056は、“関節技の鬼”藤原組長こと藤原喜明のプロレス観、ゴッチ観、前田日明観。「べらべらしゃべっちゃいけネー」と語る藤原組長は、わりとべらべらとおはなしをしてくれた(Photo Credit:Fumi Saito)

 199X年

 カール・ゴッチといちばん親しい日本人レスラーは藤原喜明だろう。それはレスリングの師匠と弟子というよりは、パーソナルな関係といっていい。

 ――ちょっと用があって足立区南花畑のプロフェッショナル・レスリング藤原組の道場を訪ねると、藤原組長はチラっとだけこっちを向いて、粉だらけの右手をあげて「おお、よく来たな」とグリーティングの合図をしてくれた。

 約80坪の道場――倉庫スペース――のなかに建てられたプレハブの事務所スペースの奥の部屋で、藤原組長は粘土をいじっていた。粘土なんていったら怒られるかもしれない。陶芸品、焼きものの原型をこねていた。

 まだやりはじめたばかりというわりには、棚のなかにはずいぶんたくさんの作品が並んでいる。フリーハンドで作ったコーヒー・マグには“よしあき”なんてスタンプまで彫りこんである。

 岩手に大きな工房を持っている陶芸家の友だちがいるそうで、藤原組長がこしらえたお皿や置き物もそこでじっくり焼かれる。凝りはじまったら、とことん凝らないとおさまらない。そして、「これはこうなんだ、と説明できないところがいいんだ」とほんのちょっとだけ説明してニヤリと笑ったりする。藤原組長は芸術家である。

 いわゆる多趣味だ。いくらでも大きくなりそうなアメリカン・ピットブルを家のなかで飼い、1日のうちの5時間か6時間を「日々変わる」盆栽の手入れに費やし、イラストを描き、浪曲をうなる。

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