ブレットとミスター・ヒトの再会――フミ斎藤のプロレス読本#064【WWEマニア・ツアー編エピソード4】

ブレットとミスター・ヒトの再会――フミ斎藤のプロレス読本#064【WWEマニア・ツアー編エピソード4】

『フミ斎藤のプロレス読本』#064WWEマニア・ツアー編エピソード4は、WWE世界王者ブレット・ハートとその“師匠”ミスター・ヒトの感動の再会シーン。大阪でお好み焼き屋さんを営むヒトさんは、ブレットの来訪を心から喜んだ(写真はWWEオフィシャル・パブリシティー・フォトより)

 199X年

 ミスター・ヒトさんの奥さまは、「JRだったら玉造(たまつくり)から来ればいいわ」と教えてくれた。ヒトさんご夫婦が経営するお好み焼き屋さん“ゆき”は、天王寺区空堀町というところにあった。

 もうリングには上がっていないのだから、ヒトさんという呼び方は正確ではないかもしれない。本名は安達勝治。旧日本プロレス末期の1972年(昭和47年)にアメリカ武者修行に出て、そのままカナダ・カルガリーに定住した国際派レスラーである。

 日本に帰ってきたのはごく最近で、お店をはじめてからはまだ3カ月ちょっとしかたっていない。大阪は安達さんのホームタウンで、お好み焼きの“ゆき”は安達さんがお姉さんから引き継いだものなのだという。

 長いあいだカルガリーでのんびりと暮らしてたから、50歳を過ぎてからまた日本に帰ってくることになるなんて思ってもみなかった。もう独立したふたりの娘さんたちは、いまでもカナダに住んでいる。

 “ヒットマン”ブレット・ハートは「アダチ先生に会いにいく」といってほほ笑んだ。ブレットと安達さんの出逢いは、いまから15年ほどまえにさかのぼる。

 “カルガリーの父”スチュー・ハートのブッキングで米中西部カンザスからカナダに北上してきた安達さんは、そのレスリング技術を高く評価され、いつのまにか新人レスラー育成の専任コーチというポジションについた。

 大学を中退してプロレスを選択したブレットは、安達さんのお気に入りのヤングボーイになった。

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