34GT-Rが5500万円!フェラーリやランボルギーニより値上がりする理由――2022年トップ10

34GT-Rが5500万円!フェラーリやランボルギーニより値上がりする理由――2022年トップ10

このデザイン、出た時は「なんてブサイクなんだ!」と思ったけれど、時がたてばたつほど、全面的にカッコよく見えてきたっ!

2022年、日刊SPA!で反響の大きかった記事からジャンル別にトップ10を発表。高額な商品を買うときの参考になった「家電・趣味」部門の第7位は、こちら!(集計期間は2022年1月~11月まで。初公開日2022年3月20日 価格等は取材時の状況)
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◆ロシアが何をしても値上がりを続ける、スカイラインGT-Rは有事の「金」か!?

GT-Rというクルマは日本が世界に誇るスポーツカーですが、今、ひと世代前のスカイラインGT-Rが中古車市場で爆上がり中(今のGT-Rは「スカイライン」はつきません)。その第2世代スカイラインGT-Rは、マニアのなかでは型式を略して32、33、34と呼ばれておりますが、なかでも激熱なのが34! そんな34GT-Rオーナーが知り合いにいたので、貸してもらいました!

永福ランプ(清水草一)=文 Text by Shimizu Souichi
池之平昌信(流し撮り職人)=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu

◆フェラーリやランボルギーニより値上がり!

 利上げ見通しにロシアのウクライナ侵攻が加わって、世界の株価が下落している。株価に連動するように高騰を続けていた国産スポーツカー相場も、いよいよ下がるのかなあと思い、ネットを検索して愕然とした。R34型スカイラインGT-R VスペックⅡが、5500万円で売りに出されていたのだ! 走行距離約500㎞のほぼ未走行車ではあるが、まさか5000万円オーバーとはっ!!

 第2世代スカイラインGT-Rの最終型であるR34型は、国産スポーツカーのなかでもっとも高騰が激しいが、少し前の認識は、1000台限定の最終「ニュルブルクリンク」(通称ニュル:新車価格630万円)が約3000万円で、相場のてっぺんのはずだった。

 ところが現在は、「ニュル」のつかないVスペックⅡでも、3000万円オーバーになっている。ひょっとして34GT-Rは、「株」ではなく、有事に強い「金」なのか?

 とにもかくにも、R34型スカイラインGT-Rが、凄いことになっている。10万㎞オーバーの個体でも1300万円。最高は前述のように5500万円。NISMOが19台限定で製作した「Z-tune」だと1億円オーバー?という噂もあるが、取引がないので不明だ。

◆価格がフェラーリ超え

 身近に、34GT-Rのオーナーがいる。ナンバー1自動車雑誌『ベストカー』編集長のイイジマだ。彼がソレを持っていることはずーっと前から知っていたが、正直、なんとも思っていなかった。「どうせポンコツだろ」くらいにナメていたのだ! それが、あれよあれよという間に私のフェラーリの価格を超えてしまった! ショック!

 34GT-Rが生産されたのは、’99年~’02年まで。出た時に試乗したけど、もう20年くらい乗ってない。「戦車みたいなクルマ」だった覚えはあるが、いったいどんな感じだったっけ。これは久々に運転させてもらうしかない!

◆14年前に440万円が1500万円!

 イイジマの34GT-Rは、狭い路地の奥にある自宅駐車場にギリギリのスペースで置いてあった。車庫には屋根もない。見るからに「いつの間にか値上がりしちゃったけど、そんなの関係ありませんヨー」という風情だ。イイジマ号は’99年式で、グレードは「Vスペック」。走行距離は約8万㎞。今の相場だと1500万円くらいである。

「14年前に440万円で買ったんです。その時すでに9年落ちでしたから、ぜんぜん下がってないじゃん、高いなあと思いながら、かなり無理して買ったんですよ」(イイジマ)

 新車価格は559万円。9年落ちの中古が440万円もしたんじゃ、高いと思って当然だ。それが1500万円になるなんて、世界中の誰ひとり思っていなかった!

◆280馬力は仮の姿

 いよいよ試乗だ。車内は適度に生活感がある。家族用のクルマは別にあるが、勝手に乗ると怒られるので、これはイイジマの普段の足でもある(涙)。走行距離は年間約5000㎞ずつ増えている。

 1速に入れて発進。低速域はかなりトロい。しかしクルマから伝わってくるあらゆる部分の剛性感がものすごい。まさに戦車である。そこからアクセルを踏み込み、エンジンの回転数が3000を超えるとターボが効き始め、「ビュイーン」と加速する! が、しょせん280馬力。そんなに速くはない。速いというより重々しい印象だ。

 GT-Rのエンジン「RB26DETT」は、レースで勝つために作られた。280馬力は仮の姿で、チューンすれば1000馬力にパワーアップすることもできる。この重ったるい感覚は、ウルトラ丈夫なエンジンブロックから伝わるホンモノの証し。その無限の可能性が、スカイラインGT-Rの相場を、とんでもないところまで引き上げた。

 こういうクルマは、速いから高いわけじゃない。性能とは無関係で、こんなのもう作れないから高いのだ。相場ってそういうもんだよネ! 乗っててなんだか涙が出てきた。

◆【結論!】

古いスポーツカーの相場は、需給関係だけで決まる。それにしても、フェラーリやランボルギーニと違って、生産台数が断然多いスカイラインGT-Rが、まさかこんなに値上がりするとは……。まさに共同幻想だネ!

―[2022年トップ10「家電・趣味」部門]―

【清水草一】
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中。清水草一.com

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