米朝首脳会談の決裂は想定通り!? 誰も現状打破を望んでいない/倉山満

米朝首脳会談の決裂は想定通り!? 誰も現状打破を望んでいない/倉山満

2月27日、ベトナムの首都ハノイにて行われた米朝首脳会談で握手を交わす、ドナルド・トランプアメリカ大統領(左)と金正恩北朝鮮労働党委員長(右)。(写真/時事通信社)

◆キーワードは、Status cquo。これさえ分かっていれば、今回の会談を読み解ける

― 連載「倉山満の言論ストロングスタイル」―

 すべてが想定の範囲内。国際政治の常識を知っている者からすれば、何の変哲もない会談だった。

 さる2月27、28日に行われた2回目の米朝首脳会談のことだ。ドナルド・トランプアメリカ大統領と金正恩北朝鮮労働党委員長の会談は、事実上の物別れに終わり、共同声明すら出されなかった。

 一知半解の外交評論家、あるいは世を惑わす工作員ならば、「共同声明が出されなかったのは大失敗だ」などと扇動するかもしれないが、たった一つの鍵があれば、謎など何もない。むしろ定跡(セオリー)通りの結末とも言える。

 キーワードは、Status quo(ステイタス・クォー)。この一言さえ意味が分かっていれば、今回の会談を読み解くなど、たやすい。ラテン語の原語の意味では「現状」だが、現代では「現状維持」とも訳される。

 米朝首脳会談に関係するアクターの中で、Status quoを望まない国はどこだったのか。そもそも誰がアクターなのかを理解していれば、愚かな報道には惑わされなかっただろう。「朝鮮戦争が終結する」「日本人拉致被害者が帰ってくるかもしれない」「朝鮮半島の新時代に向けて、日本は巨額の資金供出をしなければならないのか」云々。

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