ライブ後にトイレでリスカ…大炎上した元アイドルの新たな人生「悩む子を支えたい」
2023年03月01日 08時53分SPA!

炎上直後はリスカをネタにしたSNS投稿やイベント開催など、突飛な行動を取った白石さん。今はすっかり落ち着いた大人の女性になっていた
今日もネットで何かが燃えている。明日もまた何かが燃える。あまたのネット炎上はときに激しく燃え盛るが、いつの間にか煙のように風に吹かれて忘れられていく。それでも続くのが人生ならば、彼らのその後はどうなったのか。炎上を経験した人たちのもとを訪ねてみた。今回は、’15年6月ライブ後にリストカットして炎上した元アイドルの白石さくらさん(28歳・保育士)のその後に迫っていく。
◆<炎上の経緯>
’15年6月、アイドルグループ「エンタの時間」に所属していた白石さくらさんは、ライブ後の特典会中にトイレに籠もりハサミで腕を切った。このショッキングなニュースがネットで大炎上。白石さんは同グループを即解雇された。
◆ネットの情報と事実は異なっていた
取材場所に訪れた彼女は意志が強そうな眼差しだった。快活で、話す内容も整理されており、リストカットで炎上した元アイドルには思えない。
’15年、白石さくらさんはライブ後の特典会中、トイレで右腕を深く切った。ネットでは「地下アイドルもここまで堕ちた」と揶揄された。「ライブ中に切った」「原因は彼氏とのケンカ」と情報は独り歩きしたが、事実は異なる。
「15歳で初めてリスカをしました。父に殴られ、母は毒親で精神的に参っていたけど、切ると落ち着いたんです」
◆当事者不在のまま過熱する炎上
炎上の際の自傷行為も、ツラい家庭環境と清純派アイドルとして振る舞うことのギャップに耐えかねての衝動的な行動だった。同時に、面倒を起こせばアイドルをやめられるかも、という打算もあったが、白石さんの予想をはるかに上回る大ごとになった。ネット炎上は、真実も当事者も不在のまま過熱する。彼女が炎上を知ったのは数時間後だ。
「病院には一人で行きました。途中でナンパされて、傷口を見せたらみんな引いてましたね(笑)。治療が終わって深夜にスマホを見たらSNSの通知はすごいし、運営からはすでに解雇の連絡が来てました」
白石さんの“最初の人生”は本人の知らぬ間に終わった。
◆リストカットをやめて保育士として生活
“第二の人生”もなかなか始まらなかった。アイドルをやめてもTwitterには罵詈雑言が届き、収まったのは3か月後。頼れる大人もおらず、アルバイトを転々とした。そんな中、偶然就いた保育の仕事が肌に合った。
「4人姉弟の長女で弟たちの面倒を見てたから、保育士が向いていたみたいです。園児と一緒に運動や食事をする健康的な生活は、精神的にも良かったように思います」
そして’19年11月3日、25歳の誕生日前日にリストカットをやめた。
◆アルバイトから正社員に、家族との関係も修復
「いい大人だし、リスカに頼るのはやめました。ストレス発散法もいろいろ試して、今は筋トレや読書、サイクリングをするようになりました」
保育園でのアルバイトは2年続き、保育士資格を取得して正社員に。経済的にも精神的にも安定し、昨年から実家を離れて一人暮らしを始めた。
「両親は離婚し、父とは絶縁。母とも物理的に距離を置いたことで、少しずつ関係も良くなったように思います」
◆「当時の私のように悩むコを支えるため」YouTubeで情報発信
さらに、リストカットについて発信するYouTubeチャンネルも開設した。
「リスカは命綱でした。腕を切ることで、自殺せずに済んだ。炎上したとき、共感や励ましの言葉もたくさんもらいました。当時の私のように悩むコを少しでも支えたいです」
ハサミを腕に当てることをやめると決めたとき、白石さんは桜のタトゥーを入れた。決意の桜が散ることはない。
<取材・文/週刊SPA!編集部>
◆<炎上の経緯>
’15年6月、アイドルグループ「エンタの時間」に所属していた白石さくらさんは、ライブ後の特典会中にトイレに籠もりハサミで腕を切った。このショッキングなニュースがネットで大炎上。白石さんは同グループを即解雇された。
◆ネットの情報と事実は異なっていた
取材場所に訪れた彼女は意志が強そうな眼差しだった。快活で、話す内容も整理されており、リストカットで炎上した元アイドルには思えない。
’15年、白石さくらさんはライブ後の特典会中、トイレで右腕を深く切った。ネットでは「地下アイドルもここまで堕ちた」と揶揄された。「ライブ中に切った」「原因は彼氏とのケンカ」と情報は独り歩きしたが、事実は異なる。
「15歳で初めてリスカをしました。父に殴られ、母は毒親で精神的に参っていたけど、切ると落ち着いたんです」
◆当事者不在のまま過熱する炎上
炎上の際の自傷行為も、ツラい家庭環境と清純派アイドルとして振る舞うことのギャップに耐えかねての衝動的な行動だった。同時に、面倒を起こせばアイドルをやめられるかも、という打算もあったが、白石さんの予想をはるかに上回る大ごとになった。ネット炎上は、真実も当事者も不在のまま過熱する。彼女が炎上を知ったのは数時間後だ。
「病院には一人で行きました。途中でナンパされて、傷口を見せたらみんな引いてましたね(笑)。治療が終わって深夜にスマホを見たらSNSの通知はすごいし、運営からはすでに解雇の連絡が来てました」
白石さんの“最初の人生”は本人の知らぬ間に終わった。
◆リストカットをやめて保育士として生活
“第二の人生”もなかなか始まらなかった。アイドルをやめてもTwitterには罵詈雑言が届き、収まったのは3か月後。頼れる大人もおらず、アルバイトを転々とした。そんな中、偶然就いた保育の仕事が肌に合った。
「4人姉弟の長女で弟たちの面倒を見てたから、保育士が向いていたみたいです。園児と一緒に運動や食事をする健康的な生活は、精神的にも良かったように思います」
そして’19年11月3日、25歳の誕生日前日にリストカットをやめた。
◆アルバイトから正社員に、家族との関係も修復
「いい大人だし、リスカに頼るのはやめました。ストレス発散法もいろいろ試して、今は筋トレや読書、サイクリングをするようになりました」
保育園でのアルバイトは2年続き、保育士資格を取得して正社員に。経済的にも精神的にも安定し、昨年から実家を離れて一人暮らしを始めた。
「両親は離婚し、父とは絶縁。母とも物理的に距離を置いたことで、少しずつ関係も良くなったように思います」
◆「当時の私のように悩むコを支えるため」YouTubeで情報発信
さらに、リストカットについて発信するYouTubeチャンネルも開設した。
「リスカは命綱でした。腕を切ることで、自殺せずに済んだ。炎上したとき、共感や励ましの言葉もたくさんもらいました。当時の私のように悩むコを少しでも支えたいです」
ハサミを腕に当てることをやめると決めたとき、白石さんは桜のタトゥーを入れた。決意の桜が散ることはない。
<取材・文/週刊SPA!編集部>
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