“トルコの東大”卒のトルコ出身お笑い芸人「憧れの存在はバカリズム」
2023年03月05日 08時53分SPA!

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2023年2月6日にトルコとシリアの国境部分でM7.8の大地震が発生した。この地震による死者者の数は執筆時(2023年2月現在)で約5万人と言われ、今も多数の行方不明者がいる。トルコには世界各国からの支援や救助が寄せられているが、この未曽有の災害を受けて、ツイッターで母国への批判と寄附の呼びかけを行ったのは、トルコ出身のお笑い芸人・デミルさん(30歳・@demirhanjp)だ。
身長188センチで、トルコの東大と言われる「ボアズィチ大学」を卒業した彼は、来日して、2022年7月にお笑いコンビ「不死身のレモン水」を結成。現在はお笑いライブの企画などを行う芸能事務所K-PROに所属している。
インタビュー前編では、トルコ国民としての今の心境と、地震後にツイートした<トルコは汚職建築者がうじゃうじゃ湧いてくる、築1年の建物も粉々になる国なので俺は驚いていない。我が国は姉歯大国>の真意、さらにはなぜ日本で芸人として活動をしているのかなど話を聞いたが、後編では日本とトルコの文化の違いや、謎のコンビ名「不死身のレモン水」の由来などを聞いた。
◆芸人という仕事が仕事として成立している日本
――そもそも芸人がここまでテレビに出ている国も珍しいかもしれませんね。
デミル:芸人という仕事が仕事として成立しているのは、日本が舞台芸や芸事にすごく価値を見出している証拠です。「M-1グランプリ」のようにほぼ全国民が毎年、お笑いの大会を見るというのもトルコでは信じられないです。僕が日本に来るきっかけとなった『ゴッドタン』のような過激さがテレビで見られるのも思ってもみなかったことです。少し前にトルコに帰省したら、どのテレビもつまらなく感じましたし、日本はなんて自由な国なんだと。日本の芸能界のほうが全然輝かしいと思いますし、表現の自由って最高だと感じました。
◆フリーライブで出会った相方とコンビ結成
――今はコンビとして活動をしていますね。
デミル:フリーライブからイチから頑張って、いろいろな人とコンビを組んで、解散を繰り返した結果、今の相方の「おんぷくん」と出会いました。温厚な人がいいなと思って組みました。K-PROのフリーライブで出会ったんですが、もともとお互いに別のコンビをやっていて、お互いに解散して、彼がYouTubeでフリー芸人にインタビューする企画をやっていて、そこで仲良くなって、誘ってくれたんです。
――結成に至るまでは苦労も多かったですか?
デミル:どんな人と結成したにしても「絶対にトルコ人が出てくるコントや漫才のネタを100本くらい書けるか」っていう課題にぶち当たりますし、扱いにくいですよね。最初は他の人と組んだら迷惑かけてしまうからピン芸人としてやっていこうと決めたんです。でも1人だとお客さんとの距離が遠すぎて、空回りする僕のことを翻訳してくれる日本人の存在が必要だなと思い、相方を探しました。
◆とある企業の社内資料を日英翻訳する仕事
――会社員としてはどんな仕事をしているんですか?
デミル:お笑い芸人だけでは就労ビザは下りないので、普通に会社員をやりながら働いています。仕事はとある企業の社内資料を日英翻訳しています。日本語はもともと大学が通訳・翻訳学専攻だったので、そこで学びました。あとは会議やプレゼン、入社オリエンテーションの通訳の仕事もやっています。いつか帰化できたらフリーターになる自由を手に入れてみたいですね(笑)。
――芸人の仕事と会社の仕事をどう両立してますか?
デミル:普通にサラリーマンみたいに月曜から金曜まで仕事ですが、ちょっと融通の利く会社で、自分のタスクさえこなしていれば、在宅勤務もOKですし、平日のライブでも夕方くらいだったら問題なく出させてもらえます。なので、K-PROの劇場がある西新宿に住んでて、その移動時間を最小に削っています。同僚のみなさんにも応援していただいて、たまにライブも見に来てくれます。上司や社長レベルの方にも気に入っていただいて、社内のイベントでMCをやらせてもらうこともあります。
◆ストローを咥えたまま注文したら怒られた
――日本とトルコの文化的なギャップを感じたことはありますか?
デミル:ついこの前も、先輩とお茶しに行ったときに、アイスコーヒーをテーブルに置いたままストローで飲みながら、店員さんに「もう1杯ください」って言うのを何も思わずにやってしまい、めちゃくちゃ注意されました。「ストローを咥えたままは失礼だ」と。
――それはたしかに怒られそう。
デミル:あとは一番感じたのは、トルコの人ってボディタッチの国と思われるくらい触り合うんですね。友達とか男同士でも、ほっぺにチューとかするし、僕がかつていたトルコの会社も家族みたいなノリがあって、急に肩を揉んだり、肩組んで喜び合ったり、抱き合ったりとか普通にやっていました。ただ、今の会社で1回やらかしてしまって。何かいいことがあったとき、自分の顔を同僚の女性の腕に一瞬だけくっつけてしまったんです。めちゃくちゃドン引きされて、それ以来、誰にももう指1本も触れないようにしています。
◆コンビ名の由来はトルコの神話「不死身の水」
――どちらかというと傷つきやすいタイプなんですか?
デミル:基本的に人に迷惑かけるぐらいだったら何もしないほうがいいと思うタイプなのですね。すぐ傷ついてしまうタイプなので、わりと優しくしてほしいですね。どっちかというと根暗なのかもしれません。もちろん、場合によっては普通に怒ることもありますけど、いわゆる大ゲンカもしないですね。今も30歳ですけど、20代前半の子ってちょっと何かあるとケンカしたがるというか。
――コンビ名の「不死身のレモン水」ってどういう由来なんですか?
デミル:これは相方に聞くのと、僕のとで答えが違うかもしれませんが、僕にとっては人間のくだらないこだわりを意味しています。もともとお互いに言葉を出し合って、それをくっつけて、今までになかったコンビ名を出そうっていう話を新宿ハルクの隣の「ピース」という全席喫煙席の喫茶店でしていたんですが、そこの店員さんが水を飲み切ったらすぐに注ぎ足してくれるんですよ。その水の中にレモンのスライスが入っているのを見て、相方が「不死身のレモン水ください」って言ったんです。
トルコの神話で「不死身の水」っていう概念があって、それを飲んだら不死身になるっていう。なのに、それにレモンを入れてちょっと味を出そうとしている人がいるという絵が見えたんです。そういうくだらない部分が、僕の人生を表していると思って、すごく刺さったんです。本当にくだらないこだわりで、ちょっとポイントのずれたことをずっとやり続けて、空回りしてばかりの人生だったので。相方はそんなこと思ってないかもしれませんが、僕にはそこが引っかかったという。
◆憧れの存在「バカリズム」「街裏ぴんく」
――日本の芸人さんで好きな方はいますか?
デミル:最初に僕がピンでやろうとしたのは「次のバカリズム」さんになりたかったからです。1人コントの世界観で、いろんな人を引き込みたいなって。ただ、バカリズムさんは老若男女どんな役にも見えるからこその強さがある一方、僕はこんな見た目なので。僕の中での表現とお客様が見たときの認識のズレが大きすぎたので、あきらめました。
あとは漫談家の街裏ぴんくさんもすごく好きで、本当に偶然ですけど、一時期僕も「ファンタジー漫談」みたいなことをやっていて。夜中に歩いていたら口裂け女に話しかけられて、でも口裂け女っていう概念をまだ知らないから、逆ナンして、ホテルに連れて行ってしまうみたいな。
それは、最終的に、口裂け女がインフルエンサーになってしまう話ですが、あたかも本当にあったかのようにしゃべるんです。街裏ぴんくさんは1回だけお会いしたことありますが、本当にもう震えて、震えて、話せなかったです。すごく本当にリスペクトしてます。
◆相方は伊能忠敬の子孫
――コンビ組んでからお世話になってる先輩芸人さんとかいますか?
デミル:いま一番お世話になってる先輩は、ワニマルタイキさん。事務所の先輩の「おせつときょうた」さんの一番弟子の方です。ただ、芸名をコロコロ変えるので、今どうなってるんだろう……(スマホで調べて)ああ、大丈夫です、あってました! ネタライブをたくさん主催されているので、それきっかけで街裏ぴんくさんともお会いさせてもらったりしました。あとはネタについても結構細かく教えていただいてますね。
――ネタはどうやって決まっていくんですか?
デミル:タイキさんや事務所の方にも言われたのが、お客様が見ていて疑問が残ると、笑ってもらえないということ。結局この人って何なんっていう。それを解消するためには自分の素性をしっかり説明したうえで、ボケて、ツッコんでいく必要がある。例えば、僕は「トルコの東大」と呼ばれるいい大学出てるんですけど、相方は伊能忠敬の子孫なんですよ。これ本当なんですけど、お前のほうがすごいやん!ってなりますよね。それで、いろんなものに対して「僕のほうがじゃないほうだ」っていうのを出し合って、自己紹介していくネタを今はやっています。
◆4年ぶりに帰国したらトルコ料理で下痢
――なるほど。面白そうですね。
デミル:ただ、正直ちょっと生意気なことですけど、僕自身はあんまり文化大使みたいなことはやりたくなくて。「トルコ人と日本人の違いをいっぱい説明します」ってTikTokerがやるようなことじゃないですか。でも、周りからは「絶対、今のネタがいい」と言われて、それも納得できるんですけど、いまだに変なこだわりというか、もっとセンスで褒められたいという気持ちはあります(笑)。
――トルコに帰りたいという気持ちはありますか?
デミル:実はこの年末、30歳をトルコで迎えようと4年ぶりに帰国したんです。そしたら、トルコの食事でめちゃくちゃ腹を下してしまって、おまけにコンビ揃ってのテレビ出演を逃しちゃうし、散々だったんです。前にも言いましたが、今のトルコの政治下では僕はどうせ考え方の合わないマイノリティなので、それならきれいな大都会がある日本のような先進国でマイノリティになりたいと思います。なので、お笑いをもっと頑張って、日本でもっと活躍したいですね。
<取材・文/シルバー井荻 撮影/スギゾー>
【不死身のレモン水 デミル】
1993年1月1日、トルコ・イスタンブル生まれ。2022年7月、日本人の相方おんぷと「不死身のレモン水」を結成。特技は、鼻で吸ったシーシャの煙で輪っかを作ること、三ヵ国語で通訳、圧倒的なゲラ、ゲテモノ食いなど。
Twitter:@demirhanjp
Instagram:@demirhan.jp
【シルバー井荻】
平成生まれのライター、編集者です。
身長188センチで、トルコの東大と言われる「ボアズィチ大学」を卒業した彼は、来日して、2022年7月にお笑いコンビ「不死身のレモン水」を結成。現在はお笑いライブの企画などを行う芸能事務所K-PROに所属している。
インタビュー前編では、トルコ国民としての今の心境と、地震後にツイートした<トルコは汚職建築者がうじゃうじゃ湧いてくる、築1年の建物も粉々になる国なので俺は驚いていない。我が国は姉歯大国>の真意、さらにはなぜ日本で芸人として活動をしているのかなど話を聞いたが、後編では日本とトルコの文化の違いや、謎のコンビ名「不死身のレモン水」の由来などを聞いた。
◆芸人という仕事が仕事として成立している日本
――そもそも芸人がここまでテレビに出ている国も珍しいかもしれませんね。
デミル:芸人という仕事が仕事として成立しているのは、日本が舞台芸や芸事にすごく価値を見出している証拠です。「M-1グランプリ」のようにほぼ全国民が毎年、お笑いの大会を見るというのもトルコでは信じられないです。僕が日本に来るきっかけとなった『ゴッドタン』のような過激さがテレビで見られるのも思ってもみなかったことです。少し前にトルコに帰省したら、どのテレビもつまらなく感じましたし、日本はなんて自由な国なんだと。日本の芸能界のほうが全然輝かしいと思いますし、表現の自由って最高だと感じました。
◆フリーライブで出会った相方とコンビ結成
――今はコンビとして活動をしていますね。
デミル:フリーライブからイチから頑張って、いろいろな人とコンビを組んで、解散を繰り返した結果、今の相方の「おんぷくん」と出会いました。温厚な人がいいなと思って組みました。K-PROのフリーライブで出会ったんですが、もともとお互いに別のコンビをやっていて、お互いに解散して、彼がYouTubeでフリー芸人にインタビューする企画をやっていて、そこで仲良くなって、誘ってくれたんです。
――結成に至るまでは苦労も多かったですか?
デミル:どんな人と結成したにしても「絶対にトルコ人が出てくるコントや漫才のネタを100本くらい書けるか」っていう課題にぶち当たりますし、扱いにくいですよね。最初は他の人と組んだら迷惑かけてしまうからピン芸人としてやっていこうと決めたんです。でも1人だとお客さんとの距離が遠すぎて、空回りする僕のことを翻訳してくれる日本人の存在が必要だなと思い、相方を探しました。
◆とある企業の社内資料を日英翻訳する仕事
――会社員としてはどんな仕事をしているんですか?
デミル:お笑い芸人だけでは就労ビザは下りないので、普通に会社員をやりながら働いています。仕事はとある企業の社内資料を日英翻訳しています。日本語はもともと大学が通訳・翻訳学専攻だったので、そこで学びました。あとは会議やプレゼン、入社オリエンテーションの通訳の仕事もやっています。いつか帰化できたらフリーターになる自由を手に入れてみたいですね(笑)。
――芸人の仕事と会社の仕事をどう両立してますか?
デミル:普通にサラリーマンみたいに月曜から金曜まで仕事ですが、ちょっと融通の利く会社で、自分のタスクさえこなしていれば、在宅勤務もOKですし、平日のライブでも夕方くらいだったら問題なく出させてもらえます。なので、K-PROの劇場がある西新宿に住んでて、その移動時間を最小に削っています。同僚のみなさんにも応援していただいて、たまにライブも見に来てくれます。上司や社長レベルの方にも気に入っていただいて、社内のイベントでMCをやらせてもらうこともあります。
◆ストローを咥えたまま注文したら怒られた
――日本とトルコの文化的なギャップを感じたことはありますか?
デミル:ついこの前も、先輩とお茶しに行ったときに、アイスコーヒーをテーブルに置いたままストローで飲みながら、店員さんに「もう1杯ください」って言うのを何も思わずにやってしまい、めちゃくちゃ注意されました。「ストローを咥えたままは失礼だ」と。
――それはたしかに怒られそう。
デミル:あとは一番感じたのは、トルコの人ってボディタッチの国と思われるくらい触り合うんですね。友達とか男同士でも、ほっぺにチューとかするし、僕がかつていたトルコの会社も家族みたいなノリがあって、急に肩を揉んだり、肩組んで喜び合ったり、抱き合ったりとか普通にやっていました。ただ、今の会社で1回やらかしてしまって。何かいいことがあったとき、自分の顔を同僚の女性の腕に一瞬だけくっつけてしまったんです。めちゃくちゃドン引きされて、それ以来、誰にももう指1本も触れないようにしています。
◆コンビ名の由来はトルコの神話「不死身の水」
――どちらかというと傷つきやすいタイプなんですか?
デミル:基本的に人に迷惑かけるぐらいだったら何もしないほうがいいと思うタイプなのですね。すぐ傷ついてしまうタイプなので、わりと優しくしてほしいですね。どっちかというと根暗なのかもしれません。もちろん、場合によっては普通に怒ることもありますけど、いわゆる大ゲンカもしないですね。今も30歳ですけど、20代前半の子ってちょっと何かあるとケンカしたがるというか。
――コンビ名の「不死身のレモン水」ってどういう由来なんですか?
デミル:これは相方に聞くのと、僕のとで答えが違うかもしれませんが、僕にとっては人間のくだらないこだわりを意味しています。もともとお互いに言葉を出し合って、それをくっつけて、今までになかったコンビ名を出そうっていう話を新宿ハルクの隣の「ピース」という全席喫煙席の喫茶店でしていたんですが、そこの店員さんが水を飲み切ったらすぐに注ぎ足してくれるんですよ。その水の中にレモンのスライスが入っているのを見て、相方が「不死身のレモン水ください」って言ったんです。
トルコの神話で「不死身の水」っていう概念があって、それを飲んだら不死身になるっていう。なのに、それにレモンを入れてちょっと味を出そうとしている人がいるという絵が見えたんです。そういうくだらない部分が、僕の人生を表していると思って、すごく刺さったんです。本当にくだらないこだわりで、ちょっとポイントのずれたことをずっとやり続けて、空回りしてばかりの人生だったので。相方はそんなこと思ってないかもしれませんが、僕にはそこが引っかかったという。
◆憧れの存在「バカリズム」「街裏ぴんく」
――日本の芸人さんで好きな方はいますか?
デミル:最初に僕がピンでやろうとしたのは「次のバカリズム」さんになりたかったからです。1人コントの世界観で、いろんな人を引き込みたいなって。ただ、バカリズムさんは老若男女どんな役にも見えるからこその強さがある一方、僕はこんな見た目なので。僕の中での表現とお客様が見たときの認識のズレが大きすぎたので、あきらめました。
あとは漫談家の街裏ぴんくさんもすごく好きで、本当に偶然ですけど、一時期僕も「ファンタジー漫談」みたいなことをやっていて。夜中に歩いていたら口裂け女に話しかけられて、でも口裂け女っていう概念をまだ知らないから、逆ナンして、ホテルに連れて行ってしまうみたいな。
それは、最終的に、口裂け女がインフルエンサーになってしまう話ですが、あたかも本当にあったかのようにしゃべるんです。街裏ぴんくさんは1回だけお会いしたことありますが、本当にもう震えて、震えて、話せなかったです。すごく本当にリスペクトしてます。
◆相方は伊能忠敬の子孫
――コンビ組んでからお世話になってる先輩芸人さんとかいますか?
デミル:いま一番お世話になってる先輩は、ワニマルタイキさん。事務所の先輩の「おせつときょうた」さんの一番弟子の方です。ただ、芸名をコロコロ変えるので、今どうなってるんだろう……(スマホで調べて)ああ、大丈夫です、あってました! ネタライブをたくさん主催されているので、それきっかけで街裏ぴんくさんともお会いさせてもらったりしました。あとはネタについても結構細かく教えていただいてますね。
――ネタはどうやって決まっていくんですか?
デミル:タイキさんや事務所の方にも言われたのが、お客様が見ていて疑問が残ると、笑ってもらえないということ。結局この人って何なんっていう。それを解消するためには自分の素性をしっかり説明したうえで、ボケて、ツッコんでいく必要がある。例えば、僕は「トルコの東大」と呼ばれるいい大学出てるんですけど、相方は伊能忠敬の子孫なんですよ。これ本当なんですけど、お前のほうがすごいやん!ってなりますよね。それで、いろんなものに対して「僕のほうがじゃないほうだ」っていうのを出し合って、自己紹介していくネタを今はやっています。
◆4年ぶりに帰国したらトルコ料理で下痢
――なるほど。面白そうですね。
デミル:ただ、正直ちょっと生意気なことですけど、僕自身はあんまり文化大使みたいなことはやりたくなくて。「トルコ人と日本人の違いをいっぱい説明します」ってTikTokerがやるようなことじゃないですか。でも、周りからは「絶対、今のネタがいい」と言われて、それも納得できるんですけど、いまだに変なこだわりというか、もっとセンスで褒められたいという気持ちはあります(笑)。
――トルコに帰りたいという気持ちはありますか?
デミル:実はこの年末、30歳をトルコで迎えようと4年ぶりに帰国したんです。そしたら、トルコの食事でめちゃくちゃ腹を下してしまって、おまけにコンビ揃ってのテレビ出演を逃しちゃうし、散々だったんです。前にも言いましたが、今のトルコの政治下では僕はどうせ考え方の合わないマイノリティなので、それならきれいな大都会がある日本のような先進国でマイノリティになりたいと思います。なので、お笑いをもっと頑張って、日本でもっと活躍したいですね。
<取材・文/シルバー井荻 撮影/スギゾー>
【不死身のレモン水 デミル】
1993年1月1日、トルコ・イスタンブル生まれ。2022年7月、日本人の相方おんぷと「不死身のレモン水」を結成。特技は、鼻で吸ったシーシャの煙で輪っかを作ること、三ヵ国語で通訳、圧倒的なゲラ、ゲテモノ食いなど。
Twitter:@demirhanjp
Instagram:@demirhan.jp
【シルバー井荻】
平成生まれのライター、編集者です。
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