ヤクザみたいに仕事の相手先が「契約解除」の脅しをかけてきたら…意外な交渉術の正解5つ

ヤクザみたいに仕事の相手先が「契約解除」の脅しをかけてきたら…意外な交渉術の正解5つ

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商談、トラブルの解決、家庭内での家事分担、男女の駆け引きに至るまで、日常はあらゆる交渉の連続だ。しかし、日本人は“お人よしの交渉ベタ”で主張を押し通せないこともしばしば……。そこで、SPA!は百戦錬磨の交渉のプロが監修した全22問の「交渉力検定」を作成。今回は準備~序盤編の5問を掘り下げる。「ゴネ得社会」をスマートに生き抜く本物の交渉力を身につけよ!◆【準備~序盤編】どちらの選択肢が「交渉上手」だと思いますか?

Q1 交渉する場所は?

A 相手の会社に行く

B 自分の会社に招く

C どちらの会社でもない場所

Q2 最初の条件提示は?

A できれば同時に

B 自分から先にすべき

C 相手に先にさせるべき

D どちらからでもOK

Q3 提示する条件・要望は?

A ハードル高めに設定

B ハードル低めに設定

C まずは相手に都合の良い条件から

D 相手次第で臨機応変に

Q4 交渉前の態度は?

A 笑顔でフレンドリーに

B 笑顔なしでビジネスライクに

C へり下った態度を見せる

D 高圧的な態度

Q5 “脅し”をかけられたら?

A 脅し返す

B 屈せず押す

C 真意を見極める

※正解は記事最後に

◆交渉は下準備と事前の攻防で決まる

まずは交渉の準備段階と入り方からジャッジ。Q1の「交渉する場所」は、意外にも「自分の会社に招く」が正解だ。

「交渉は、相手に時間というコストをかけてもらうほうが有利に進む。かけた時間が長いほどそのコストを無駄にしたくないという心理が働き、妥協してでも交渉を成立させたくなるからです」と語るのは、ニューヨーク州弁護士の大橋弘昌氏だ。

家電量販店での値切り交渉を例に取ろう。いきなり「◯円安くして」と言っても相手にされないが、1時間接客を受けた後に切り出せば、店員も「時間をかけたし利幅が薄くなっても買ってほしい」という心理が働く。時間というコストをかけてもらうことで立場を有利にできるのだ。

◆条件は相手から提示させるが正解

そして互いの条件を提示する際(Q2)は「相手から提示させるべき」(大橋氏)だ。

「こちらから提示した場合、その条件が相手にとってありがたい条件になっている可能性がある。賃貸物件を借りる場面を例に取りましょう。広告での家賃が15万円。オーナーに13万円まで安くなりませんか? と交渉すると、あっさり成立。

その後調べると他の住人は10万円しか払っていなかった……自分から提示するとこんな事態になりかねない。『15万円とありましたが、いくらまで安くなりますか?』とまず相手に提示させて交渉を始めるべきです」(大橋氏)

◆こちらから条件を提示するときはずうずうしいぐらいが丁度いい

一方、自分が条件を提示する際(Q3)は「ずうずうしい」と思われるくらいハードル高めの条件を提示したい。

「契約書の条項が10あったら5つくらいはこちらに有利なように書いておく。譲歩する余地をあらかじめ取っておくのです。

そして交渉の中で『仕方ありません。ここまで譲歩します』と相手に譲歩する。条件や要望を謙虚に提示したっていいことはひとつもないのです」(大橋氏)

こうして譲歩を重ねていけば、こちら側のみならず相手も「利益を得られた」と満足する。これこそが「ウィンウィンの交渉」の極意だ。

◆交渉においてへり下る必要はない

では、交渉相手とはどのような態度で接するべきか。Q4は「笑顔なしでビジネスライク」が正解。作家で僧侶の向谷匡史氏はこう語る。

「日本人は交渉を控えた相手にもへり下りがちですが、“いい人”が交渉で厳しいことを言うと相手は裏切られたような気になって身を固めがち。逆に厳格に見える人が相手を慮って譲歩する姿勢を見せるとそれだけで加点される。交渉では印象操作も重要です」

◆交渉の場で脅しをかけられたときは…

また、交渉相手には「来季からの契約解除」をちらつかせるなど、脅しをかけて交渉を進めてくる輩もいる(Q5)。

「ヤクザは交渉前に“相手が困る状況”を設定して圧をかけるのが常套手段。交渉前に脅しをかけ、それを解除すれば何も譲歩していないのに利益を与えたように見せられる算段です。

最近だとトランプ前米大統領も『関税を引き上げる』と脅しをかける一方、交渉では撤回して有利に進める手法をよく使っていた。この手に屈しないためにも『相手が何を臨むか』を見定めておくことが重要。裏にある『相手が得たい利益』がわかっていれば冷静に対処できます」

脅しに屈しては相手の思うツボ。ましてや脅迫罪に問われる場合もあるため、自分が脅しを使うのもナンセンスだ。

【正解と点数】
Q1/A(0点)、B(4点)、C(2点)
Q2/A(1点)、B(0点)、C(4点)、D(0点)
Q3/A(4点)、B(1点)、C(0点)、D(1点)
Q4/A(2点)、B(4点)、C(0点)、D(0点)
Q5/A(0点)、B(2点)、C(4点)

【ニューヨーク州弁護士 大橋弘昌氏】
’02年、大橋&ホーン法律事務所設立。日本企業の在米現地法人を中心に100社以上のクライアントを持つ。著書に『負けない交渉術』

【作家、僧侶 向谷匡史氏】
週刊誌記者などを経て作家に。浄土真宗本願寺派僧侶。『ヤクザ式 10秒で立場が逆転する心理交渉術』など交渉術の著書が多数

取材・文/週刊SPA!編集部

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