“明らかな格下”との試合に臨むサッカー日本代表。不安要素はあるものの、「圧倒的な余裕」を感じられる理由
2023年11月16日 15時50分SPA!

所属クラブでの活躍により、世界中から注目される存在になった久保建英
いよいよFIFAワールドカップを懸けた長い戦いの幕が開ける。
2026年にアメリカ、カナダ、メキシコの北中米3カ国で共催されるワールドカップの出場権を争う戦いが各地で本格化してくる。日本代表は初戦をホームで迎え、ミャンマー代表と対戦する。直近では4年前の「FIFAワールドカップカタール2022」のアジア2次予選で対戦しておりホームでは10-0、アウェイでは2-0で日本が勝利している。過去の対戦成績でも7勝5分2敗と勝ち越しており、現在は日本が4連勝中。普通に考えれば負ける相手ではないが、現在の日本に不安要素があることは否めない。果たして、次なるワールドカップの行方はどうなるのだろうか。
◆FIFAランキングは日本がダントツではあるが…
これから始まるアジア2次予選で日本はグループBに入り、ミャンマー、シリア、北朝鮮と同組になった。10月に発表された最新のFIFAランキングで18位となり、前回のワールドカップ以後アジア1位の地位を保持する日本は、1次予選を免除されており2次予選からの参戦となる。ちなみに、同組になった国のランキングは現時点でシリアが92位、北朝鮮が115位、ミャンマーが158位となっており、いずれも今の日本が負ける相手ではない。
しかし、森保一監督は「油断なく隙なくしっかりと勝っていけるようにという心構えを忘れてはいけない」と、警笛を鳴らす。まさにそのとおりであり、格上が負けるときは油断や慢心から目の前の戦いに集中しきれていない場合が多い。日本代表も相手の油断や慢心を突き勝ったこともあれば、逆に負けたこともある。ただ言い換えると、油断や慢心がなければ負ける相手ではない。選手時代の経験も含めてアジアの戦いをよく知る森保監督に、そういった精神的な隙はないだろう。
◆守備を固めた相手に対してどう戦うか
アジア2次予選では上位2チームが3次予選に勝ち上がる。日本と対戦する国の心理としては、圧倒的に格上の日本に負けても他で勝てばいいと考えるだろう。あわよくば、勝てなくても引き分けは狙えるかもしれない、日本に引き分ければ突破に向けて有利になる。そう考えて相手は挑んでくる。必然的に、相手はゴール前に引いてブロックを固める戦術を選択することが多い。
全員がペナルティーエリア付近まで引いて守備を固めてくる相手には、どんな強豪チームでも苦しい戦いを強いられる。日本も例外ではなく、アジア予選では毎回のように苦しめられている。もちろんその対策は考えられており、日本がどのような戦いを見せてくれるのか楽しみのひとつとなる。
◆不安要素はあるが、不幸中の幸いは…
精神的な隙もなく十分な対策を練ってきた日本だが、不安要素がないわけではない。それは負傷者の続出だ。11月8日に今回のミャンマー戦(16日開催)、シリア戦(21日開催)の招集メンバーが発表されたが、その時点で板倉滉、旗手怜央、中村敬斗が負傷を理由に外れることになった。その後も前田大然、川辺駿、伊藤敦樹、古橋亨梧、三笘薫が負傷によりメンバーから外れてしまった。それにより佐野海舟(鹿島)と細谷真大(柏)と若手選手が招集されている。
これまで連動・連係をコンセプトに強化を進めてきた日本は、ある程度メンバーを固定しながら強化を図ってきた。1人、2人と少人数が欠けるくらいであれば揺るがない程度に強化してきたが、8人も招集できない状態のうえにその大半が主力級となると、不安要素としてピックアップされる。
ただ、不幸中の幸いといえるのが、離脱者が選手層の厚い中盤から前線の選手だったことだ。鎌田大地、堂安律も復帰し、相馬勇紀も加わった。通常のチームであれば全く別のチームになりかねないほどメンバーが欠けているものの、この1年で最も多くの選手を起用したポジションのひとつ。今の日本代表にとっては大きな不安とはならないだろう。
離脱者がいれば、その分だけ機会を得る選手も現れる。競争力の高い現・日本代表において、今回チャンスを得られる選手は多くなるはずだ。チーム内の競争で勝ち残るためにも、残ったメンバーは発奮のしどころといえる。
果たして、新たなチャンスをつかむ選手はあらわれるのか。これも今回の大きな見どころのひとつとなる。
<TEXT/川原宏樹 撮影/松岡健三郎>
【川原宏樹】
スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
2026年にアメリカ、カナダ、メキシコの北中米3カ国で共催されるワールドカップの出場権を争う戦いが各地で本格化してくる。日本代表は初戦をホームで迎え、ミャンマー代表と対戦する。直近では4年前の「FIFAワールドカップカタール2022」のアジア2次予選で対戦しておりホームでは10-0、アウェイでは2-0で日本が勝利している。過去の対戦成績でも7勝5分2敗と勝ち越しており、現在は日本が4連勝中。普通に考えれば負ける相手ではないが、現在の日本に不安要素があることは否めない。果たして、次なるワールドカップの行方はどうなるのだろうか。
◆FIFAランキングは日本がダントツではあるが…
これから始まるアジア2次予選で日本はグループBに入り、ミャンマー、シリア、北朝鮮と同組になった。10月に発表された最新のFIFAランキングで18位となり、前回のワールドカップ以後アジア1位の地位を保持する日本は、1次予選を免除されており2次予選からの参戦となる。ちなみに、同組になった国のランキングは現時点でシリアが92位、北朝鮮が115位、ミャンマーが158位となっており、いずれも今の日本が負ける相手ではない。
しかし、森保一監督は「油断なく隙なくしっかりと勝っていけるようにという心構えを忘れてはいけない」と、警笛を鳴らす。まさにそのとおりであり、格上が負けるときは油断や慢心から目の前の戦いに集中しきれていない場合が多い。日本代表も相手の油断や慢心を突き勝ったこともあれば、逆に負けたこともある。ただ言い換えると、油断や慢心がなければ負ける相手ではない。選手時代の経験も含めてアジアの戦いをよく知る森保監督に、そういった精神的な隙はないだろう。
◆守備を固めた相手に対してどう戦うか
アジア2次予選では上位2チームが3次予選に勝ち上がる。日本と対戦する国の心理としては、圧倒的に格上の日本に負けても他で勝てばいいと考えるだろう。あわよくば、勝てなくても引き分けは狙えるかもしれない、日本に引き分ければ突破に向けて有利になる。そう考えて相手は挑んでくる。必然的に、相手はゴール前に引いてブロックを固める戦術を選択することが多い。
全員がペナルティーエリア付近まで引いて守備を固めてくる相手には、どんな強豪チームでも苦しい戦いを強いられる。日本も例外ではなく、アジア予選では毎回のように苦しめられている。もちろんその対策は考えられており、日本がどのような戦いを見せてくれるのか楽しみのひとつとなる。
◆不安要素はあるが、不幸中の幸いは…
精神的な隙もなく十分な対策を練ってきた日本だが、不安要素がないわけではない。それは負傷者の続出だ。11月8日に今回のミャンマー戦(16日開催)、シリア戦(21日開催)の招集メンバーが発表されたが、その時点で板倉滉、旗手怜央、中村敬斗が負傷を理由に外れることになった。その後も前田大然、川辺駿、伊藤敦樹、古橋亨梧、三笘薫が負傷によりメンバーから外れてしまった。それにより佐野海舟(鹿島)と細谷真大(柏)と若手選手が招集されている。
これまで連動・連係をコンセプトに強化を進めてきた日本は、ある程度メンバーを固定しながら強化を図ってきた。1人、2人と少人数が欠けるくらいであれば揺るがない程度に強化してきたが、8人も招集できない状態のうえにその大半が主力級となると、不安要素としてピックアップされる。
ただ、不幸中の幸いといえるのが、離脱者が選手層の厚い中盤から前線の選手だったことだ。鎌田大地、堂安律も復帰し、相馬勇紀も加わった。通常のチームであれば全く別のチームになりかねないほどメンバーが欠けているものの、この1年で最も多くの選手を起用したポジションのひとつ。今の日本代表にとっては大きな不安とはならないだろう。
離脱者がいれば、その分だけ機会を得る選手も現れる。競争力の高い現・日本代表において、今回チャンスを得られる選手は多くなるはずだ。チーム内の競争で勝ち残るためにも、残ったメンバーは発奮のしどころといえる。
果たして、新たなチャンスをつかむ選手はあらわれるのか。これも今回の大きな見どころのひとつとなる。
<TEXT/川原宏樹 撮影/松岡健三郎>
【川原宏樹】
スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
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