エアギター“史上最多”3度優勝の名倉七海(28)「いつの間にかフィンランドで切手になってました」

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AIざっくり要約

  • 名倉七海は世界エアギター選手権で史上初の3回優勝を果たした。
  • 2014年と2018年にも優勝し、2023年に3回目の優勝を果たし歴史を刻んだ。
  • エアギターは誰でも始められる楽しい文化と語り、愛と平和を伝える大会だという。

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エアギター“史上最多”3度優勝の名倉七海(28)「いつの間にかフィンランドで切手になってました」

女性タレントの名倉七海さん

フィンランドで毎年行われている「エアギター世界選手権」。お笑いコンビ「ダイノジ」の大地洋輔さんが2回優勝したことでも有名だが、エアギターは全身を使ってギターを弾いているように魅せるパフォーマンスだ。世界各国から強者が集まるこの大会で、3回も優勝している女性がいる。
 エアギター世界選手権の28年間の歴史で、誰も成し遂げてない3度の優勝を勝ち取ったのは、タレントの名倉七海さん(28歳)。なぜ「Seven Seas(セブンシーズ)」という名前で大会に出場したのか。どのように3回も優勝を勝ち取ったのか、話を聞いてみた。

◆優勝してもギターが見えないと叩かれる

――2023年、優勝おめでとうございます! 3回も優勝してすごいですよね。

名倉七海(以下、名倉):「史上初3度目の優勝目指します!」といろんな人に宣言していたので、有言実行できてすごく嬉しかったです。ネットニュースでも流れて、すごく反響もありました。過去3回優勝した中でいちばん楽しめました。

――ステージに上がるとスイッチが入ったように別人になりますよね?

名倉:はい。出番前に司会の人から、七海から考えた「セブンシーズ!」という私のエアギターネームを呼ばれた瞬間に緊張も全部消えて、よし行くぞ!みたいな感じになります。

◆当初はアイドル時代のけじめをつけるために

――初めて出場した2014年には史上最年少で初優勝しています。

名倉:たぶん男性出場者が多い中に「19歳の女の子が来た!」というインパクトが大きく、それも優勝できた要因のひとつだと思います。今振り返ってみると、ダンス要素が強すぎで、エアギターファンの方からも「ギターが見えない。ダンスじゃん!」と叩かれていたみたいです。

――2014年に優勝して、次の年は?

名倉:優勝するとディフェンディング・チャンピオンで次の年も世界選手権に出られるんですが、2015年は4位でした。当時はアイドル時代(宇宙初のエアギターアイドルユニット「テレパシー」のメンバーだった)のけじめをつけるためにチャレンジしていたので、優勝して私の役割は終わったと思っていたんですね。でも2018年に大阪で北欧関係のイベントに呼んでいただき、ひさしぶりにパフォーマンスをしたら、すごく楽しかったんです。「もう1度エアギター選手権に挑戦したい!」という想いが湧き出して、2018年の大会に3年振りに出場しました。

◆世界選手権の生配信を見て「やっと戻ってきた」

――2018年にも優勝していますよね?

名倉:2014年の大会は、最年少でダンスティックなパフォーマンスが受けて優勝したのですが、「ギターを弾いてない」という意見もあったので、2018年は「ギターを弾いている」エアギターパフォーマンスを意識しました。やっとみんなに認めてもらえる優勝ができたのでうれしかったです。

――その後の大会をどのように見ていたのですか?

名倉:2020年、2021年はコロナ禍で大会が中止になり、2022年は世界選手権があったのですが、日本大会が開催されず世界選手権にも出場できませんでした。ただ、2022年の世界選手権の生配信を夜中に見ていたのですが、会場の熱気や盛り上がりの雰囲気がコロナ前にやっと戻ってきた感じがしました。

 ただ、「来年は絶対出よう」みたいなことは思ってなくて、「また出られるかな〜」くらいの感覚でした(笑)。2023年の世界選手権では、史上初の3度目の優勝をすることができて本当にうれしかったです。

◆2023年の決勝に唯一残った

――2023年の大会は、他にも日本からも来ていた人もいましたか?

名倉:エアギター世界選手権では、日本を含む加盟国の大会で優勝すると世界大会が行われるフィンランド行きの切符を手に入れることができますが、敗れた人も「ダークホース」という現地最終予選にエントリーすることができます。

 今回もダークホースで、病院事務の方と会社員の方が自費で参加していました。ただ、みなさん予選で敗れてしまい、決勝に残った日本人は唯一私だけでした。しかも過去2回優勝しているアメリカ代表の人とフランス代表の人がいて、私を含めて「誰が史上初の3度目の優勝を取るか」と非常に注目されていて、プレッシャーもありました。

◆エアギターは愛がある

――エアギター世界選手権はどんな雰囲気ですか?

名倉:世界大会が行われるのは、フィンランドの首都ヘルシンキから飛行機で1時間ぐらい行ったオウルという小さな街です。湖もあり、自然豊かで、街の雰囲気もすごくのんびりしています。そこに1週間滞在して、1日目はエアギタリストたちとオウルの街を探索したり、みんなとの交流会もあります。

決勝が終わると1泊2日で自然の中にあるコテージに泊まりに行くのですが、そこでビールを飲んだりサウナに入ったりして、参加者と家族のように仲良くなれます。それを私たちはエアギターファミリーと呼んでます。

エアギター世界協会は「Make Air Not War 武器を捨ててエアギターを持とう」という平和なスローガンを掲げていて、エアギターは愛がある平和な世界が広がっています。もちろん選手権なので、闘いではあるのですが、ステージでもみんな応援してくれるし、ステージから降りるとハグやハイタッチをしてお互いを称え合います。

◆いつのまにかフィンランドの切手になっていた

――エアギターの魅力はなんだと思いますか?

名倉:最初の一歩がすごく入りやすいところですね。ダンスはリズム感が必要ですし、ギターを弾くのも難しいですよね。でもエアギターは、道具もいらず、動きだけですぐに始められます。あと愛があるエアギターファミリーが私は大好きです。エアギターを通して世界中の人たちと家族みたいな繋がりができて、もっとこういう平和な世界が広がったらいいのになあと思いました。

 日本に帰ってきてからもFacebookやSNSのコミュニティでメッセージのやり取りを今でもずっとしています。誰がメディアに出たとか、そういう話が多いですね。実は私、フィンランドでいつの間にか切手になってたんです! 2014年に私の得意技である「ナナバウアー」のポーズで決めている姿が、切手になっていたのをコミュニティの方から教えてもらいました。

◆9歳からやっていたダンスを武器に

――えー、いつの間にか!? すごくないですか! あの体の柔らかさはやっぱりダンスをやっていたおかげですか?

名倉:はい、ダンスは9歳の時からやっていました。なので、私のエアギターのパフォーマンスはダンス要素が多く、体が柔らかいのも、1分間の起承転結を作り盛り上げる構成もダンスをやっていたおかげだと思います。

◆世界選手権で勝ち進むには運が必要

――世界選手権の審査方法は5人の審査員の点数で決まるそうですね。

名倉:今年はYouTuberの審査員もいましたが、誰が審査員になるのか分かりません。私のパフォーマンスのような結構激しめにヘドバン(ヘッドバンギング)したり、アクロバテックな動きが好きな人もいれば、ロックに寄せて忠実にギターを弾くスタイルを好む審査員もいるので、世界選手権で勝ち進むには運も必要だと思います。

――ギリギリでパフォーマンスの調整はできないんですか?

名倉:ファーストラウンドはもちろん人によって違いますが、私は1分間のパフォーマンスをきっちり練っているので変えられないですね。今年はロボットダンスを取り入れた「操り人形」をコンセプトにしましたが、来年、どんなエアギターをするのか考えるのが結構大変です(笑)。でも、また楽しんでやりたいと思います。

<取材・文/谷亜ヒロコ 撮影/中川菜美>

【名倉七海】
俳優/女性タレント/歌手。1995年、東京都生まれ。2012年9月、エアギターアイドルユニット「テレパシー」の結成メンバーとして活動開始。2013年秋にCDデビュー。フィンランドで毎年行われている「エアギター世界選手権」で2014年、2018年、2023年で史上初の3度目の世界チャンピオンになる。グループ解散後はドラマや舞台、バラエティ番組でも活躍。エアギターネームは“名倉 Seven Seas 七海”。X(旧Twitter):@__SevenSeas



【谷亜ヒロコ】

放送作家を経てフリーライター&作詞家として活動中。好きなテレビ番組は「ザ・ノンフィクション」、好きなラジオはTBSラジオ、得意料理は春巻き。得意領域はカルチャー、音楽、芸能、住宅、美容など。Twitter:@rokohiroko

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