「大麻を拾った」と言い張る被告と検察官の探り合い<薬物裁判556日傍聴記>

「大麻を拾った」と言い張る被告と検察官の探り合い<薬物裁判556日傍聴記>

イラスト/西舘亜矢子

薬物事案の裁判の傍聴に556日間通い、法廷劇の全文を書き起こしたという斉藤総一さんの手記。今回の被告萩原敦は大麻取締法違反で逮捕されたデザイン会社社員。両手の甲にタトゥーを彫った男は、職務質問中に「拾った(ことすら忘れていたという)大麻」の所持が発覚。その場で咄嗟に飲み込もうとするも、結局吐いてしまい逮捕に至った。その大麻にはコカインが付着していた。法廷での被告の印象は「とにかく消沈していた」とのことだが、誘導尋問的な検察官の質問に対する答えを見ると、被告の低いテンションからはしたたかな一面も垣間見える。

   ***

◆「大麻は拾った」はっきりとしないやり取りが続く

 まず検察官による起訴状の朗読から。

検察官「公訴事実。被告人はみだりに平成28年6月6日。神奈川県横浜市中区長者町11-7-22「横浜鑑定団 長者町店」駐車場内において、大麻成分であるテトラヒドラカンナビノールおよび麻薬であるコカインの付着する植物片、1.157gを大麻と認識して所持したものである。罪名および罰条、大麻取締法違反、同法第24条の2第1項。以上」

 のちに明らかになりますが、これはコカインを付着させた大麻を巻きタバコのように巻いたものです。今度は検察官による証拠調べを見ましょう。

検察官「検察官が証拠によって証明しようとする事実は次のとおりです。

1 2 3 4 5 6 次へ

関連記事(外部サイト)