NYで見た体験型ショー『Tamara』のこと/鴻上尚史

NYで見た体験型ショー『Tamara』のこと/鴻上尚史

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― 連載「ドン・キホーテのピアス」<文/鴻上尚史> ―

◆NYで見た体験型ショー『Tamara』のこと

 ニューヨークに来ています。

 秋の新作を書くためですが、ひょんなことから、『Sleep No More』を4年ぶりに見ました。

 ホテルを舞台に、参加者が各部屋を自由に歩き、出会った登場人物の後を追いかけていくと、ある物語が浮上してくるというじつにスリリングな仕掛けです。

 ニューヨークに旅行に行く人の間では、「ミュージカルを見る時間はなくても、『Sleep No More』だけは見といた方がいいよ」と言われ続けています。

 僕自身は、1990年前後に体験した『Tamara(タマラ)』を思い出しました。

 ブロードウェイには、その日のチケットを約半額で売る『TKTS』という窓口があります。連日、安いチケットを求めて多くの人が並びますが、その昔、そこで「『Tamara』100ドル」という表示を見ました。

 ミュージカルの平均が100ドルで、チケットは半額の50ドルで売られていた時代です。

 チケットに示されていた場所は、劇場ではなく大きな屋敷でした。

 チケットを差し出すと、代わりに、パスポートのようなノートを渡され、そこにバンッ!とイタリアのイミグレのハンコが押されました。

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