NYで見た体験型ショー『Tamara』のこと/鴻上尚史

時代は、たしか、1930年代の表示でした。

「おお、なんだ!?」と廊下を進んでいくと大広間にぶつかりました。入ると、200人ほどの客が、唖然とした顔のまま、壁際にずらりと立っていました。

 真ん中に大きなテーブルがありました。やがて、執事が現れ、続いて、屋敷の主人と思われる男性、その妻、息子などが現れました。

 そして、執事が「タマラ様がご到着されました」と言いながら、長身の女性を案内して来ます。

 タマラを含めて、8人がテーブルにつき、執事と女中が傍に立ちます。つまり全員で10人の登場人物です。

 短い会話から、屋敷の主人が自分の肖像画を描いてもらうために、女流画家のタマラを呼んだということが分かります。

◆観客が目撃する女中の事情

 主人がタマラを導いた瞬間に、登場人物全員が動き始めます。

 その時、執事が壁際に立っていた観客に向かって「さあ、どうぞ、興味のある登場人物の後について行って下さい!」と叫ぶのです。

 僕はとっさに、女中の後につきました。20人ぐらいの観客が、ゾロゾロと女中についていきます。

 女中は、地下の厨房に進みました。大きな屋敷なので、20人の観客ぐらい簡単に入れるのです。

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