総制作費38億円、愛の歌だけを歌うミュージカルのこと/鴻上尚史

総制作費38億円、愛の歌だけを歌うミュージカルのこと/鴻上尚史

※写真はイメージです

― 連載「ドン・キホーテのピアス」<文/鴻上尚史> ―

◆総制作費38億円、愛の歌だけを歌うミュージカルのこと

 ニューヨークに7月に行った時に新作ミュージカル『ムーラン・ルージュ』を見ました。

 ユアン・マクレガーとニコール・キッドマン出演で、名匠バズ・ラーマン監督で2001年に映画になった作品の舞台化です。

 パリにあるキャバレー、ムーラン・ルージュを舞台に、若い作家と踊り子の恋物語が描かれます。

 目玉は、名曲の愛の歌をこれでもかっというぐらい歌うことです。

 映画版では、ビートルズだのエルトン・ジョンだのマドンナだのの名曲を惜しげもなく投入しました。

「なるほど、この手があったかと」と映画を見た時は唸りました。

 既成の曲を物語の中にぶち込むスタイルを「カタログ・ミュージカル」とか「ジュークボックス・ミュージカル」なんて言います。ま、ちょっとおとしめた言い方です。

 世界的に一番ヒットしたのはもちろん、ABBA(アバ)の曲だけで作った『マンマ・ミーア!』ですね。この作品の成功で、全曲既成の曲というスタイルが流行り定着しました。

 それ以降、ビートルズもキャロル・キングもクイーンも、とにかく、いろんなアーティストの既成の曲を使ってミュージカルが作られました。

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