対生物・化学兵器テロの最前線を担う自衛隊病院。医師が着用するマスクも足りていない

日本は「生物・化学兵器」と無縁ではありません。

 生物兵器(毒性を強化された病原体)に感染したと疑われる患者は隔離が必要です。特に空気感染する感染症、病原体の特性が不明な時点では、患者の隔離に陰圧室が必要です。陰圧室とは、部屋を陰圧にして空気を室外に出さない構造の部屋です。

 自衛隊中央病院と防衛医大病院にそれぞれ2部屋が設置されていますが、自衛隊病院が医療の安全保障を担う機関なら、その程度の装備はすべての自衛隊病院に必要だと感じます。今のままでは自衛隊病院は、生物兵器に感染した患者が来院したら、拒否せざるを得ないと思います。しかし、そんな事態となれば、患者は必ず来院します。防衛省の病院ということで期待も大きいでしょう。

 同様に放射性物質や化学剤で汚染された患者が来た場合は、まず物理的に水で洗い流す必要があります。汚染物質が付着した状態では治療が不可能だからですが、その場合の排水タンクを備えた温水シャワー施設、すなわち除染設備も自衛隊中央病院にあるだけです。テロは東京だけで起こるわけではないのです。しかし、全国の自衛隊病院にそんなものを準備する発想も予算も我が国の自衛隊にはありません。

 自衛隊病院や医官を医療の安全保障の中心に据えるアイデアですが、現状はあまりにも乖離しています。予算不足で簡単なものですら十分な数がないことに呆然とします。

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