薬物依存者の更生より、ゴシップを優先するみっともない国/鈴木涼美

薬物依存者の更生より、ゴシップを優先するみっともない国/鈴木涼美

逮捕前夜、渋谷のクラブに向かう途中だった美人女優の映像が繰り返し放送されているが、有名人の薬物逮捕の際は、事前にマスコミに情報がリークされることも多い。逮捕劇をある種のショーにしてしまう薬物報道のあり方に対して、薬物依存への偏見や誤解を助長すると疑問の声も上がっている

―[鈴木涼美の連載コラム「8cmヒールで踏みつけたい」]―

◆1ミリリットルの何か/鈴木涼美

 以前良識派の教育関係者が、服装や髪形などの校則を厳しくする教師は多様な生徒を教育する自信がないのを世に晒しているようで非常にみっともない、と話していた。

 かつて服装や髪形の規則を破ることに命をかけるくだらない学生だった私はこういうまともな教師ばかりでも張り合いがないなと思ったのだけど、では彼理論を応用すると、医療用途やソフトドラッグも含めて薬物取り締りや罰則を厳しくする国は、大麻ユーザーごときもハンドルできないと白旗をあげていることになる。そして大麻所持が紙面で時に重犯罪と同等の扱いを受ける日本は確かに白旗をあげており、治安の良さや教育水準の高さに誇りを持つ人にとっては不本意にみっともない姿を晒していることになる。

 さて、意外と言われると微妙なのだけど、私は現状の日本での娯楽用の大麻合法化にはそれほど積極的な立場ではなく、その「ハンドルできない」という評価を不当に思うかと言うと妥当かなとすら思う。

 いい年の国会議員が酒気帯びでロシアと戦争しようと言い出したり、政権と懇意の記者が泥酔した就活生とホテルにしけ込んだり、普段は飲酒不可の桜の名所で時の首相が1万8千人のお友達と美酒に酔いしれてついでに支払い明細を都合よく紛失しているような国は、もはや酒すらほとんどハンドルできていないので、みっともない姿なのはドラッグの取り扱いを見るまでもなく明らかだ。

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