<純烈物語>10年目の“ロクテンニーサン” 初めての無観客ライブで目撃した物語<第52回>

たとえ無観客であっても普段通りに汗を流し、その姿を10年目の純烈として残しておきたいという酒井の意向によるものだった。

 ブランクを考えれば、冷房の効いた会場の方がやりやすい。ましてや今の4人は、1曲歌っただけでゼーゼー言って翌日には筋肉痛にのたうち回るおっさんたちである。酒井の口から出た「『涙の銀座線』モード」の言葉が頭をよぎった。

 10年前の6月23日も、彼らは汗水垂らしながら自分たちの存在を一人でも多くの人に憶えてもらうべく、全力で歌っていたんだろうな――銀座駅構内コンコースの銀座オアシスにおけるデビュー記念イベントの情景が、見たこともないのに浮かんできた。

 世の中の誰も純烈の存在を知らなかったあの日、集まったのは戦隊ヒーロー時代から応援してくれたファンだった。自己紹介を兼ねて酒井が、友井が、小田井涼平が変身ポーズを見せるとヤンヤの歓声となったがその後、歌い始めるや一転して「シーン」となった。

 今、同じような“シーン”が目の前に広がっている。でも、姿なき純子と烈男の皆さんの思いで満席となっていた。

 静寂を破るかのように「それでは収録スタートです。よろしくお願いします!」というスタッフの声が響く。ステージの幕が開くと、そこには昨年末の紅白歌合戦へ出場したさいに着た衣装で身を包んだ4人が立っていた。

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