オバマ前大統領、マウンティング「する」ではなく「させてあげる」交渉術



 ここで注目すべきは、上記の発言の直後にオバマ元大統領から発せられる以下の一言です。

「Joiが専門家だから彼に従うよ」(0:21)

「Joi」というのは、伊藤氏の愛称のことです。相手に対する深い配慮を常に念頭に置いたコミュニケーションを心掛けているオバマ大統領は、議論が始まるやいなや、今回の対談相手である伊藤氏のAI(人工知能)に関する専門性を賞賛することによって、本対談が参加者全員にとってマウントフルネスな構成になるように緻密に計算しているのです。

 実際、このようなお膳立てがあれば、伊藤氏はより一層自身の専門性を発揮しやすくなりますし、対談自体も有意義なものとなる可能性が高まります。そして、AI(人工知能)に関する自身の見解を述べた後、オバマ氏は以下のような言葉を投げかけることで、伊藤氏のさらなる発言を引き出していくのです。

「Joiはもっと詳しく知ってるよね」(2:51)

 そしてこの後、AIに関する議論から派生する形で、映画『スタートレック』に対談のトピックがシフトするのですが、「この映画の中に登場する人物の人間味が好きだ」と語る伊藤氏に対して、オバマ氏は「たしかに君の言う通りだ」(3:12)と伊藤氏のコメントを受け止めつつ、さらなる有意義なディスカッションへと対談全体を導いていくのです。

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