コロナ対策に成功した台湾、日本と明暗を分けた理由は?

コロナ対策に成功した台湾、日本と明暗を分けた理由は?

台湾内の感染者が36日ぶりにゼロとなった4月14日、台湾を代表するホテルである圓山大飯店では部屋のライトを使った「ZERO」のライトアップが行われた。(台湾総統府提供)

<文/野嶋剛:ジャーナリスト、大東文化大学特任教授>
◆公衆衛生の人材を重用した台湾

 日本と台湾の新型コロナウイルス対策について、最大の違いがどこにあるのかと聞かれれば、私はこう答えるだろう。

 日本は対策を“感染症”の専門家が主導し、台湾は“公衆衛生”の専門家が主導した。

 台湾ではいわゆる感染症の専門家の活躍は表立って出てこない。コロナ対策を牽引したのは、陳建仁副総統や陳其邁・行政院副院長ら公衆衛生のキャリアや経験を積んできた人たちだった。

 日本では、感染症の専門家がこれでもか、という形で前面に出ている。テレビや報道でおなじみとなった岩田健太郎・神戸大教授も岡田晴恵・白?大教授も感染症の専門家である。だが、台湾ではメディアの取材や番組によって、日本のように感染症のプロたちが延々と見解を披露することにはなっていない。

 日本で公衆衛生の専門家の存在感が薄いのは、6月24日に廃止が発表された政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議のメンバーをみても明らかだ。

 座長の脇田隆字・国立感染症研究所所長はC型肝炎の専門家で、副座長でいつも安倍首相の側で説明役を務めている尾身茂・地域医療機能推進機構理事長は、地域医療を専門としている。ほかのメンバーも押谷仁・東北大学大学院教授、岡部信彦・川崎市健康安全研究所所長をはじめ、12人中、9人が感染症の専門家で、公衆衛生の専門家は東京大学医科学研究所の武藤香織教授しか入っていない。

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