PCR検査が少なくてもコロナを抑え込めた…台湾と日本では何が違う?

PCR検査が少なくてもコロナを抑え込めた…台湾と日本では何が違う?

指揮センターの会見で厳しい表情を浮かべる陳時中衛生福利部長[台湾行政院提供]

<文/野嶋剛:ジャーナリスト、大東文化大学特任教授>

 日本では台湾との比較がしばしば語られたが、台湾のコロナ対策を検証してみると、単純な比較は容易ではないことに気付かされた。はっきりいえば、日本と台湾ではレベルが違うからである。

◆レベル1の台湾とレベル3の日本

 防疫に必要なのは、第一に水際で侵入を食い止めること(レベル1)、第二に侵入を食い止められなかったら、流行が小規模なうちに徹底的に検査・隔離を行うこと(レベル2)、第三に徹底的な検査・隔離が行えないほど感染が広がったら都市封鎖などで人の移動を少なくしてウイルスに感染の機会を与えないこと(レベル3)、である。

 日本における新型コロナウイルス対策で、議論が今一つ噛み合わなかったのは、日本はレベル1とレベル2に失敗し、気づいた時にはレベル3に達していたという認識が必ずしも十分に共有されていなかったことが大きいように思える。

 世界的にはあまり見られない「クラスター対策」によって日本的モデルの成功を導こうとしたが、それもうまくいかず、結果的に緊急事態宣言による社会活動の制限と「三密」の阻止という行動変容に頼って対応することになった。

 一方、台湾の場合は、基本はこのレベル1とレベル2で対処が完了しており、都市封鎖的な行動制限を行う必要がないまま、「日常生活への移行」という次のステージに入った。

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