<純烈物語>無観客ライブでも熱い。見えないファンと握手して回った純烈の想い<第53回>



 ある者は観客やカメラの向こう側にいる視聴者を想定して、またある者は無意識のうちにリアクションを要求する。違ったシチュエーションだからと変えるよりも、体に染みついたリズムで動作した方がやりやすいようなのだ。

 酒井一圭から無観客ライブでもラウンドをやると聞いた時は、それを思い起こした。100席用意されたイスに誰も座っていなくとも、純烈なりの表現手段でファンとのふれあいを描くはずだと。

 そしてその表現力は、無観客というシチュエーションだからこそ発揮されるもの。やるまでは想像できないとしつつも、自分たちが無策だったらこうした形は採らなかったはずだ。

 3月29日、プロレスリング・ノアの無観客大会で潮崎豪と藤田和之が、開始のゴングから30分以上も一切組み合わずにニラミ合い続けた。通常の試合でこのようなことをやったら、5分で「早くやれよ!」などと野次が飛んだだろう。

 そうした第三者の目を気にすることのないシチュエーションだからこそ、両者は相手の指先や目の動きまで見えるほどに神経を集中させることができた。

 その結果、これまで誰も体験しなかった独特の緊迫感が場内を包み込んだ。その場にいた誰もが、声を出すことさえはばかられた。

 いつ、どのタイミングでどちらが先に動くのか。

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