プロ野球“ハンカチ世代”の光と影。育成契約から這い上がった投手の野球人生
2021年01月04日 15時53分 SPA!
2006年夏、斎藤佑樹(北海道日本ハムファイターズ)が「ハンカチ王子」として、甲子園を沸かせたのは人々の記憶に残っていることだろう。かつて世代の頂点に君臨していた斎藤も、いまや32歳。期待された活躍をみせることなく、来季はプロ11年目のシーズンを迎える。
そんな彼と同世代のプロ野球選手、通称「ハンカチ世代」には柳田悠岐(福岡ソフトバンクホークス)や大野雄大(中日ドラゴンズ)、他にも石川歩(千葉ロッテマリーンズ)や秋山翔吾(シンシナティ・レッズ)といったそうそうたるメンバーが名を連ねるが、この世代には彼らのように輝きを放つことなくユニフォームを脱いだ選手も当然いる。
黒沢翔太さん(32歳)もその一人。投手として、2010年のNPBドラフト会議にて千葉ロッテマリーンズから育成1巡目指名を受けた黒沢さんは現在、同球団の職員として働く普通のサラリーマンだ。7年間のプロ生活、一軍での登板は計14回で、勝利投手になった経験はない。
◆育成選手は住む場所も違う
小学校5年生から野球を始め、「家が近かったから」という理由で地元・埼玉にある県立高校で野球をすることを選んだ黒沢さん。その後、進学した城西国際大学で才能が開花しプロへの切符を掴んだが、いわゆる野球エリートが歩むキャリアとは違う。それは、プロ野球の世界に入ってからも同じだった。