本格的に困窮した者を救えない生活保護は“最終的”手段ではない/鈴木涼美

本格的に困窮した者を救えない生活保護は“最終的”手段ではない/鈴木涼美

写真/時事通信社

―[鈴木涼美の連載コラム「8cmヒールで踏みつけたい」]―

1月27日の参議院予算委員会で、コロナ禍によって生活が困窮する人たちへの対応策を求められた菅首相は「政府には最終的には生活保護という仕組みも。しっかりセーフティネットをつくっていくことが大事だ」と答弁。直接補償を否定する政府の姿勢に反発が強まっている。

◆この風俗雑誌の片隅で/鈴木涼美

 モニークが映画『プレシャス』で演じた貧困家庭の母親は、ケアワーカーが訪問する時だけダウン症の孫を呼び寄せて生活保護を不正受給して暮らす。かといって彼女が社会の旨みを利用して幸福に生きているようには見えないし、とりわけ彼女の娘プレシャスの境遇は悲惨で、健康で文化的な最低限度を満たしているとは到底言えない。

 そもそも生活保護の利用率が1.6%と、諸外国と比べても極めて低い日本の場合で、不正受給の割合は保護費全体の0.4%。注目すべき問題ではない。

 ’90年代に新聞社の調査で援助交際の経験があると答えた少女たちの割合よりも低ければ、国会で寝ている議員の割合よりも、彼らが不倫している割合よりも遥かに低い。

 2度目の緊急事態宣言で再び生活が困窮する人が確実に増えると予測される中、菅首相は定額給付金について「再び支給することは考えていない」と給付を否定、その際に「最終的には生活保護という仕組みも(ある)」とも語ったことが波紋を呼んでいる。

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