安倍長期政権を思い出せ。政権維持の最大基盤は日銀人事の勝利がすべてだ/倉山満

だが国民には、まったく評価がされていない。理由は二つ。喫緊の課題として国民の願いは「コロナ禍を何とかしてくれ」であり、これがすべての課題に優先する。さらに根本的には、コロナ禍より前から我が国は慢性的不況に苦しめられてきた。前安倍政権が常に100名に満たない野党を相手にしながら何一つ実績を出せないのに8年も政権を独占できたのは、曲がりなりにも景気を回復軌道に乗せていたからだった。

 ここで安倍内閣無敵の方程式を思い出せばいい。「日銀が金融緩和をする→株価が上がる→支持率が上がる→選挙に勝てる→誰も引きずり降ろせない」である。つまり、政権維持の最大基盤は日本銀行なのである。事実、安倍晋三前首相は、デフレにより日本国民を苦しめた白川方明前総裁の辞表を取り上げて黒田東彦総裁を送り込み、金融緩和による景気回復を唱えるリフレ派の理論を実践した。安倍前首相は日銀人事だけは、ほとんど間違えなかった。すなわち、安倍長期政権は日銀人事の勝利がすべてであったと断言しても過言ではない。

◆日銀人事とは何か

 では、日銀人事とは何か。管理通貨制において金融政策は経済政策の中心を占める。日本の金融政策を決定するのは、日本銀行政策委員会である。同委員会は、総裁1人、副総裁2人、6人の委員の、計9人で構成される。全員が対等の1票。過去には重要な政策が5対4で決定されたこともある(ハロウィン緩和)。

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