安倍長期政権を思い出せ。政権維持の最大基盤は日銀人事の勝利がすべてだ/倉山満

久しぶりの明るい話題とは、4月から日銀委員にリフレ派の野口旭専修大学教授を菅首相が提示したことだ。菅首相は枠を打ち破った。単純な算数だ。9人中4人がリフレ派となる。今までの3人から1人増えるのは、意味が違う。

 雨宮副総裁の就任の’18年以来、日銀プロパーたちが望む金利の安定化により金融緩和の効果が減殺された。日銀のほとんどの人々は、白川前総裁以前の政策を間違っているとは考えておらず、黒田総裁の金融緩和に抵抗する。リフレ派は、そうした勢力に妥協的な黒田総裁を批判する。だが、黒田総裁あればこそ、日本経済は曲がりなりにも維持できたのも事実である。歴史を振り返れば一目瞭然だ。

 勢いがあった安倍内閣の初動で、「黒田バズーカ」による異次元の金融緩和がなされ、景気は爆上げとなった。ところが安倍首相は財務省の消費増税8%への圧力に屈し、景気回復を台無しにし、さらに10%に上げるよう脅された。しかし、増税による景気後退をさらなる金融緩和(ハロウィン緩和)で蹴散らし、当時の安倍首相も増税を延期した。その結果、緩やかでも景気回復は続いた。

 つまり、時の政権が財務省と戦ってでも本気で景気回復に取り組む時、黒田総裁は金融緩和で呼応している。黒田総裁は財務省出身ながら、本来は日銀総裁になれる立場ではなかった。だが、安倍政権が金融緩和を実現すべく日銀人事で勝負を賭けた時、黒田氏は負けたら破滅の状況で火中の栗を拾うかの如く総裁に就いた。

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