ジョコビッチが偉業達成。全コート対応の要塞型が不可能を可能にした

目指すフォームはいまだ手探りのなかにあり、「いい日もあれば、悪い日もある。重要な局面でスピードが上がらなかったり、ダブルフォルトを犯してしまうこともある」状態だ。

 それでもいつか、かつての感触が戻ることを信じ、彼は試行錯誤を繰り返す。今大会でも試合を重ねるごとに精度を上げ、決勝ではセカンドサーブでも78%の高いポイント獲得率を誇った。

 もうひとつ、彼が「ローラーコースター」の言葉に込めたのは、約10年に及ぶシンシナティタイトル挑戦への旅路である。初めて決勝に進出したのは2008年。そのときは両セットともタイブレークの末、同期のアンディ・マリー(イギリス)に敗れた。
 翌年も決勝に至ったものの、ふたたび苦杯をなめさせられたのが、今大会の決勝の相手でもあるロジャー・フェデラー(スイス)だ。このときも含めて、ジョコビッチは決勝で3度、フェデラーに敗れてきた。

「心理的に、とても難しい試合だった。このコートでロジャーに負け続けてきた過去は、どうしても思い出してしまう」

 今回の決勝でも、ローラーコースターが見下ろすコートでフェデラーと対峙したとき、敗戦の記憶に襲われたことを彼は認めた。だが同時に、かつてこの場で「窮状から逆転したり、勝ち上がるごとに調子を上げてきた経験」に、勇気づけられていたともいう。

関連記事(外部サイト)