コーチの「喝!」でチームは改善。フェンシング女子金メダルの舞台裏

彼女はこれで引退するそうなので、勝ち逃げできました」と笑顔を見せる。
 決勝で金メダルを争う相手は中国。今年6月のアジア選手権準決勝では43−42で勝利しており、7月の世界選手権の準々決勝でも45−31で勝っている。ただし、「中国は貪欲に勝ちにくるチーム。しっかりビデオを撮って研究してくるので、前にやられたことのない選手にやられてしまったり、想定外のこともある」と宮脇が言うように、油断できない難敵だ。
 気持ちを引き締めて臨んだ1番手の宮脇は、3分間をフルに使う落ち着いた戦いで4−1とリードし、いい流れを作る。しかし、2番手の東は個人戦で圧勝していた相手に5連続得点を奪われて6−6と並ばれると、その後日本は流れを掴めず、宮脇も6点を奪われて10−13と逆転されてしまう。
 中国のしぶとさを見せつけられて勝ちきれないなか、チームを支えたのが、今回スタメンに抜擢された辻だった。
「『自分が勝ちにして回すぞ』とずっと思っていました。うまくいかなくても我慢をして無駄な失点を避け、ちょっとでも差を詰めて回そうと思っていた」
 その言葉どおり、辻は持ち味であるディフェンス力を存分に発揮して1回目は3−1、2回目には4−2と、いぶし銀の粘り強い勝負をした。そして、3回目の登場となった第7ラウンドでは、負けていた状態を28−27に勝ち越しにした。続く宮脇は、直前の失敗を挽回するように時間を使ってじっくり戦い、31−29にして最後の東に引き継いだ。

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