イニエスタの前でJ1初ゴール。17歳久保建英が「廊下」で開けた「扉」



 しかし、期待のルーキーの底知れなさも見せた。たったの1回であっても、このレベルで偶然に決まるシュートはない。適切な判断を下し、予備動作で勝っていた。バルサでは伝統的に、久保のポジションは得点力が求められるが、なによりシューターとしての才能が傑出しているのだ。

「(久保は)プレーの質の高さは見せた。若い選手の成長を見られるのは楽しい」

 ポステコグルー監督は試合後の会見で、そう言って及第点を与えている。

 冒頭の続き、久保はイニエスタとの対戦について、こう言葉を継いだ。
「自分はバルサの下部組織をかじっただけ。(バルサのトップの選手として活躍した選手と)比べられるのもおこがましい。天地ほどの差を1ミリでも縮められたら……」

 17歳は謙虚に語った。しかし囲み取材の最後、こうも言い放っている。

「これからは久保くんじゃなくて。自分は、久保建英なんで。お願いします」

 それはひとりのプロ選手としての矜持(きょうじ)だろう。横浜FM移籍でしくじれば、失敗の烙印を押される。それを承知で、プロの世界を生きる。イニエスタもその荒野を生き抜いてきたのだ。

 この夜、17歳は少年ではなくなった。

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