記録は世界3位。五輪出場を目指す義足のジャンパーの意志はブレない

これを受けて、ピストリウス氏はスポーツ仲裁裁判所(CAS)を通じてIAAFに提訴。専門家らによる検証の結果は「義足は競技において有利性はない」。
 CASはIAAFの判断を覆し、「規定の参加標準記録を突破すればオリンピックへの出場は可能」という審判を下した。北京大会に向けては標準記録を突破できず、出場は見送られたが、2011年にこれを突破し、ロンドン大会への出場に漕ぎつけている(結果は準決勝進出)。
 レームも近似した状況に置かれている。「義足による踏切はアンフェアではないか」という意見を受けてルールの制定に動いたIAAFは、2016年のリオ・オリンピック開催を前に、オリンピック参加の条件として「義足に有利性がないことを選手自身が証明すること」という条文を加えた。
 レームは専門家による検証を試みるが、提示できた結論は「義足の装着で助走時は不利だが、跳躍時は有利」。IAAFはこれを「証明不十分」とし、レームがオリンピック出場の資格を得ることは未だできていない。
 置かれた状況は似ていても、ピストリウス氏のときよりも複雑な点は、走り幅跳びという競技が”助走”と”踏み切り”という段階的な動作で成立していることだ。双方の動作が密接に関わって、体が駆動し、記録となって表れる走り幅跳びでは、義足に有利性がないことを証明しようとしても、”あちらを立てればこちらが立たず”になる可能性が多いにある。

関連記事(外部サイト)