錦織圭、ガスケを退け決勝へ。10年前の完敗があって今がある


 今大会のガスケは、ここまでの3試合ですでに5度のタイブレークを経験し、そのすべてをモノにしている。そのデータも頭に刻み込んだうえで、錦織は「プレーのレベルを一層上げなくてはいけない。集中力を高め、なおかつネットに出るなど攻撃的にいく」ことを自分自身に言い聞かせた。
 その冷静さこそが、彼が10年以上に及ぶプロキャリアのなかで蓄積してきた、経験の産物だろう。とくにタイブレークの立ち上がりでは、フォアを深く打ち込むと同時に前に踏み込み、スマッシュやボレーで豪快にポイントを連取した。さらには、「届かないと思うボールも取れている」と自賛する軽快なフットワークで、決まったと思われる相手のショットをことごとく打ち返す。
 もちろん、そのフットワークも、手首のケガで戦線離脱していた間に「トレーニング方法も少し変えながら、長時間取り組んできた」というフィジカル強化の賜物だ。自身のみならず、ガスケも「完璧だった」と声を揃えるタイブレークの末に、錦織が第1セットを奪った。
 自信を持っていたタイブレークを失ったこのとき、精神的に落ち込んだことをガスケは否定しない。そして錦織の”経験”は、ここが「叩きどころ」だと彼に告げた。第2セット最初のゲームを錦織は、巧妙なドロップショットや強烈なリターンを連ねてブレークする。
「第1セットを失って落ち込み、さらに第2セットの第1ゲームを落としたときに、自信を失ってしまった」
 敗者がそう顧(かえり)みれば、勝者は「ブレークした後から、伸び伸びプレーできた」と穏やかに振り返る。

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