福田正博のアジアカップ総括。「森保Jには優勝以外の目的があった」


 メンバーを刷新してスタートを切った新生日本代表が、この大会で最大試合数の7試合を戦えたことの意義は大きい。現在の日本代表は海外組がほとんどで合宿を重ねることが不可能に近いため、決勝まで勝ち上がることで選手たちが約1カ月間、トレーニングをしながらコミュニケーションを深めることができたからだ。
 最大の収穫は、冨安健洋(シント・トロイデン)の台頭だ。チームというものは、バックアッパーが増えただけではチーム力の向上にはならない。それまでのレギュラーをベンチに追いやる選手が台頭して初めてチーム力の向上につながる。その点で今大会を通じた冨安のパフォーマンスは、CBのポジション争いを大いにレベルアップさせた。
 188cmの冨安のよさは、高さを生かした空中戦だけではない。対人の強さに加えて、アジリティ(俊敏性)や足元の技術も高い。なによりプレーの先を読む力が秀でている。ボールが出てくる場所を予測する能力が高いからこそ、早めに動き出していいポジションを取れる。だからこそ、経験値が求められるCBにあって、弱冠20歳ながらも落ち着きのあるプレーでチームに安心感を与えられる。
 攻撃面でも冨安は高いレベルにある。セットプレーでのターゲットとしてはもちろんだが、ビルドアップでも目を見張るものがある。ボランチにマークがついているときに、CBがドリブルで持ち出すことができないと、攻撃は手詰まりになるが、そうしたときに冨安はゆっくりとボールを中盤に運びながら、精度の高いパスを入れていく。

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