福田正博のアジアカップ総括。「森保Jには優勝以外の目的があった」

イビチャ・オシム元監督が常々言っていた「考えて走る」ということだ。森保監督もまた、ベンチの指示待ちだけの選手は強豪国と戦えないことを十分に理解している。そのため、チームとしての方針は明示しながら、ディテールは選手たちに考えさせるようにしているのだろう。
 しかし、アジアカップ決勝のカタール戦では1失点目がオーバーヘッドシュートの「まさか」というゴールだったこともあって、守備の混乱の修正ができないまま前半だけで2失点。こうした展開のとき、ベンチからの指示を待つだけではなく、ピッチにいる選手たちが自らの判断で対応するには、まだまだ課題が残っているとも言える。
 監督の仕事というのは、「試合前までに8割が終わる」と言われている。究極は、試合が始まれば監督がほとんど何もしなくても選手たちが考えてプレーし、勝利できるチームを作ることにある。今大会での日本代表選手たちの成長と課題を、森保監督は今後につなげていくはずだ。
 日本代表は、6月には20年ぶりに南米選手権に臨む。チームというのは「競争」と「一丸」を繰り返しながら成長していくもので、アジアカップでは一丸となって戦った選手たちは、南米選手権のメンバー招集まで競争が続く。3月と5月に2試合ずつの親善試合が予定されているが、アジアカップで成果を出した選手たちのレギュラーの座が保証されているわけではないだろう。
 冨安が台頭したCBには、吉田麻也(サウサンプトン)のほかに、昌子源(トゥールーズ)、植田直通(サークル・ブルッヘ)、三浦弦太(ガンバ大阪)がいて、さらには東京五輪世代には今冬から海外に移籍した板倉滉(フローニンゲン)や中山雄太(ズヴォレ)もいる。ボランチやサイドMFのポジションにもスタメンを取って代わろうという選手は多い。ここまで森保体制下では中心選手として起用されてきた南野拓実(ザルツブルク)にしても、香川真司(ベジクタシュ)が新天地で結果を残せば安泰とは限らないはずだ。
 2022年のW杯カタール大会という”目的地”へ向けて、森保ジャパンはブレることなく歩みを進めていってほしい。

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