「本当は金が欲しかった」錦織圭がリオの銅に見いだす大切なこと

 南米のリオデジャネイロで掴んだ銅メダルは、北米大陸の北東に位置するシンシナティに向かう途中、フロリダの自宅に数時間だけ立ち寄り、大切にしまってきたという。

「誰も盗まないといいんだけれど......」

 メダルの居場所を明かした後、彼は笑って付け加えた。

 メダルをかけたラファエル・ナダル(スペイン)との死闘から24時間も経たぬうちに、錦織圭の姿は、次の戦地であるシンシナティにあった。8月16日の昼からは会場でファンが見守るなか、練習も行なっている。オリンピックには同行しなかったダンテ・ボッティーニ・コーチとも談笑し、軽くではあるがコートの感触を確かめるようにボールを打つ姿からは、連戦の疲労以上に、軽やかな解放感が感じられた。

「ホッとしたというのが、勝ったときは一番大きかったですね」

 銅メダルを決めた一戦を終えたときの心境を、錦織はそう振り返る。嬉しさは、もちろんあった。だが、それ以上に、「気持ちをすごい奮い立たせて、最後はがんばった」がための脱力感のほうが大きかった。

「まあ......、やっぱり本当は金が欲しかったので......」

 多少の苦みが混じる笑みを浮かべた口もとから、本音がポロリとこぼれ落ちる。それでも時間が経つにつれ、オリンピックでメダルを手にした事実は、喜びを伴ない心に染み込んだ。

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