高校時代に放った大ファウルに西川遥輝のスラッガーの資質を見た

 まだ余韻の残る今年の日本シリーズで流れを決めたのは第5戦だった。9回裏、二死満塁から飛び出した日本ハム・西川遥輝のサヨナラ満塁弾。この場面で一発による幕切れを想像した人はいたのだろうか。ただ、私のなかには「ひょっとしたら」という思いがあった。それは、誰よりも西川にホームランのイメージを強く持っていたからだろう。

 西川はホームランとともに世に出てきたバッターだった。「西川遥輝」の名を初めて聞いたのは、8年前の5月だった。西川が高校野球界の名門・智弁和歌山に入学して間もない頃だ。春の和歌山県大会でいきなり3試合連続を含む4本塁打。「智弁和歌山にすごい1年生がいる」と聞きつけ、和歌山市黒江にあるグラウンドを訪ねた。

 ところが、見るからに腕っ節の強い筋骨隆々のスラッガーを想像していたら、まるで違った。高嶋仁監督から「あの選手ですよ」と紹介された"スラッガー"は、色白の小顔で見るからに華奢(きゃしゃ)。ノックではショートに入り、肩も足もある。思わず高嶋監督に「横浜高校にいるような選手ですね」と感想を口にしたことを覚えている。

 バッティングに関しては、グリップエンドいっぱいに握ったバットを真っすぐに立て、いかにもヘッドの効いたスイングが印象的だった。

 それから3カ月後、西川は夏の甲子園準々決勝の常葉菊川戦で強烈な一発を放った。相手右腕が投じた低めのスライダーに反応すると、バットが細い体に巻きつくように振り出され、大きな弧を描いたスイングから放たれた打球は高々とライトへ飛んでいった。

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