森崎浩司とのかけがえのない思い出。1年前に聞いた「引退」の二文字

■引退・森崎浩司@前編

 広島で生まれ育ち、サンフレッチェ広島ひと筋でプレーしてきたMF森崎浩司は、今シーズンかぎりで17年にわたる現役生活にピリオドを打つことを決めた。引退スピーチで語った双子の兄・森崎和幸へのメッセージに込めた真意とは......。度々オーバートレーニング症候群に悩まされてきた苦悩のキャリアを振り返る。

 サンフレッチェ広島の森崎浩司はピッチ中央に立つと、手にしたメモを一言一句間違えないようにと、丁寧に読み上げていた。それは、完璧を追い求めてきたがゆえに苦しいキャリアを送ってきた、彼らしい姿だった。

「支えてくれた家族、出会ったすべての監督とチームメイト、サポーター、そして僕――森崎浩司に関わってくれたすべての人に感謝したいと思います」

 10月29日、広島はアビスパ福岡を4−1で圧倒すると、ホーム最終戦を勝利で飾った。今季かぎりでの現役引退を表明した浩司は、その試合に今季初先発すると、前半33分にはゴールを記録し、自らの引退試合に華を添えた。試合後には、クラブ史上初となる引退セレモニーが行なわれ、広島で生まれ育った生え抜き選手としての想いを伝えた。

 そして、ともに広島でプレーし続けてきた双子の兄・森崎和幸への感謝を述べようとしたとき、浩司のほほをひと筋の涙がつたう。同時にスタジアムのオーロラビジョンには和幸が映し出されたが、その目にも涙があふれていた。

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