貫いた美学。黒田博樹がチームメイトに伝えた最後のメッセージ

 最後は言葉ではなく、背中でチームメイトにメッセージを伝えた。広島と日本ハムの日本シリーズは第6戦で決着。第7戦に先発予定だった黒田博樹の登板は幻となり、第3戦の先発が現役20年、最後のマウンドとなった。

 引退を表明し、上がったマウンドはいやが上にも注目が集まった。だが、全国の視線を集めても、黒田は黒田だった。

「レギュラーシーズンも毎試合、毎試合死ぬ気でマウンドに上がってきた。その気持ちがそれ以上に上がることはない」

 20年、背負ってきた重さが感じられた。

 当初、シリーズ前の引退表明をするつもりはなかった。それはチームメイトに過度な重圧を与えたくなかったからだ。だが、覚悟を決めた。

「次の登板が最後になるかもしれない。まずはチームメイトに伝えないといけないという気持ち。今までたくさんの方に応援してもらったので、そういう人たちにも伝えないといけないんじゃないかなという気持ちでした」

 何も告げずにチームを去るのではなく、"最後"と伝えた上でその姿を見せる選択をした。

 10月25日、札幌ドーム第3戦。広島の2連勝で巡ってきた。立ち上がり。1回一死一塁から大谷に二塁打を浴びて二、三塁とピンチを招き、内野ゴロの間にいきなり1点を失った。今シリーズ、広島が初めて許した先制点だった。

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