高松大樹の忘れられない光景。 「ゴール裏を見たとき、本当に鳥肌が立った」

2016年引退特集(3)
■「ミスター・トリニータ」高松大樹(後編)

 ナビスコカップで栄光を勝ち取った大分トリニータに、翌2009年、まさかの事態が訪れる。開幕から結果を出せず10連敗を喫するなど、最下位に低迷。シャムスカ監督を解任し、後任のポポヴィッチ監督(現ブリーラム・ユナイテッドFC/タイ)のもとで復調の気配を示したものの、前半戦の借金を返すことができず、2003年から守り続けてきたJ1の舞台から、ついに滑り落ちてしまったのだ。

 さらに悲劇は終わらない。選手たちはシーズン終了後に、社長からクラブに多大な負債があることを告げられる。「今の状況ではチームから出て行ってもかまわない」。その言葉にFW高松大樹は耳を疑った。愛するクラブが存続の危機に立たされていることを、とうてい信じることができなかったのだ。

「正直、クラブとすれば、給料の高い選手に出て行ってほしかったと思います。でも、僕は出て行くつもりはありませんでしたね。やっぱりJ2に落としてしまったという責任を感じていましたから。若い選手は先のことを考えれば、出て行ったほうがよかったかもしれませんけど、僕はそういう立場ではなかったですから」

 GK西川周作(現:浦和レッズ)、DF森重真人(現:FC東京)、FW金崎夢生(現:鹿島アントラーズ)ら若手が次々と他チームに移籍する一方で、高松はすぐさま残留を表明。もっとも、クラブの財政はなかなか改善せず、高松も2011年にFC東京に期限付き移籍することとなった。

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